変形性膝関節症に対する理学療法【エクササイズは痛覚閾値の改善に有効か】スポンサーリンク 2021.05.03スポンサーリンクタイトルAssociation of exercise therapy and reduction of pain sensitivity in patients with knee osteoarthritis: a randomized controlled trialDOI: 10.1002/acr.22375研究デザインランダム化比較試験目的近年、変形性膝関節症の患者は末梢性感作、中枢性感作によって痛覚過敏が生じていることが報告されている.よって、末梢性感作、中枢性感作のメカニズムに焦点を当てた疼痛治療が必要となる.現在、どのようなエクササイズが変形性膝関節症の患者に影響を与えるかは不明である.したがって、本研究の目的は12週間のエクササイズが変形性膝関節症患者の疼痛感度に及ぼす影響を検証することとした.方法取り込み基準①40歳以上②膝OAの診断あり(X線画像)③BMI 20~35除外基準①3カ月以内の運動療法歴②全身性疾患、自己免疫疾患③下肢の人工関節の既往④重度の心血管疾患⑤頸椎・腰椎の神経学的欠損⑥広範囲・局所の疼痛症候群(線維筋痛症など)研究方法60名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた. エクササイズグループ (Exercise therapy group) コントロールグループ (control group)参加者の基礎情報は以下を参照エクササイズグループエクササイズは以下の2つから構成された.・ウォームアップ(自転車エルゴメーター)・サーキットプログラムサーキットプログラムは①コアスタビリティ訓練②股関節スタビリティ訓練③股関節筋力トレーニング④膝関節協調性トレーニング⑤膝関節筋力トレーニング⑥機能的エクササイズ以下にサーキットプログラムの一例を添付詳細は本文にある添付資料を参照※エクササイズは週3回を12週間実施※一回のエクササイズは60分間実施コントロールグループコントロールグループに割り当てられた参加者は研究期間中の12週間は運動を行わないように指導された.参加者には研究終了後に別の研究における運動に招待された.アウトカム以下のアウトカムを開始時、12週(介入後)で測定した.疼痛閾値:Pressure Pain Thresholds (PPTs)痛みの時間的加重:Temporal Summation (TS)身体機能:Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score (KOOS)結果疼痛閾値:Pressure Pain Thresholds (PPTs)両群間で比較するとエクササイズグループの方が疼痛閾値の優位な改善を示した.効果量(effect size):0.62痛みの時間的加重:Temporal Summation (TS)両群間で比較するとエクササイズグループの方が優位な改善を示した.効果量(effect size):0.62身体機能:Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score (KOOS)KOOSの下位尺度である痛みスコアのみエクササイズグループで優位な改善を示した.効果量(effect size):0.71解説今回は変形性膝関節症に対してエクササイズによる疼痛閾値の効果を検証した論文を紹介しました.結果としては12週間のエクササイズは痛覚感受性を高めて疼痛の軽減に有効であることが示されました.近年では運動により疼痛が緩和する(exercise-induced hypoalgesia:EIH)メカニズムが報告されており運動により鎮痛物質である内因性オピオイドの放出が期待できることが研究されています.今回の結果を踏まえると、運動療法は疼痛メカニズムに有益な効果があることが分かりました.慢性疼痛のメカニズムについてもう少し詳しく知りたい方はこちらの記事がおススメです。慢性疼痛に対する理学療法今回は臨床で難渋することが多い慢性疼痛に対して理学療法士としてどのように向き合っていくべきかを説明します。慢性疼痛について慢性疼痛の定義国際疼痛学会(International Association for th
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