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変形性膝関節症に対する多血小板血漿(PRP)療法の有効性【PRP療法vsヒアルロン酸注射】

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タイトル

Platelet-rich plasma versus hyaluronic acid in the treatment of knee osteoarthritis:
A meta-analysis

PMCID: PMC7220139

研究デザイン

システマティックレビュー・メタアナリシス

目的

変形性膝関節症(以下、膝OA)は中年から高齢にかけて生じる一般的な
疾患である.

膝OAに対する治療方法として手術と保存療法があり、手術では人工関節置換術が
挙げられる.しかし、合併症や年齢制限により手術が行えない場合も多い現状がある.
また、人工関節には耐久年数があるため手術時期を遅らせる必要がある.
早期の膝OAには保存療法が好まれ、関節内ヒアルロン酸注射は人工関節置換術を
遅らせることができる.

また、近年では多血小板血漿療法(以下、PRP療法)が注目されている.
しかし、膝OA治療に対するPRP療法の有効性を検証しら報告は少ない.

そこで今回は膝OAに対する保存療法に関してヒアルロン酸注射とPRP療法を
比較したメタアナリシスを検証した.

方法

2人の著者が独立して論文を系統的に抽出した.
最終的に14件のランダム化比較試験研究が取り込み基準を満たした.

取り込み基準
・対象が膝OA
・PRP療法とヒアルロン酸注射の比較研究
・ランダム化比較試験であること
・アウトカムがVAS、IKDC、WOMAC、KOOS、有害事象
 上記の中で1つ含まれている

抽出された論文の詳細

参加者数、平均年齢、KL分類、フォローアップ期間は以下の図を参照.

論文の批判的吟味

GRADE system(グレードシステム)に基づいて論文の質を評価.

アウトカム

以下のアウトカムを短期(12週未満)中期(12~24週)長期(24週以上)
までフォローアップして測定.

  • 痛み:VAS
  • International Knee Documentation Committee (IKDC) スコア
  • Western Ontario and McMaster Universities (WOMAC)スコア
  • Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score (KOOS)
  • 有害事象:痛み、腫脹、DVT、高血圧、蛋白尿など
結果

痛み:VAS

短期では優位差はなし.
中期・長期ではPRP療法グループで優位な改善を示した.

IKDC スコア

短期・中期では優位差はなし.
長期ではPRP療法グループで優位な改善を示した.

WOMAC total スコア

短期・中期・長期の全てにおいてPRP療法グループで優位な改善を示した.

KOOS 症状

短期・長期では優位差はなし.
中期のみPRP療法グループで優位な改善を示した.

KOOS 痛み

短期・中期・長期ともの両群間で優位差はなし.

KOOS ADL

短期・中期・長期ともの両群間で優位差はなし.

KOOS スポーツ

短期・中期・長期ともの両群間で優位差はなし.

KOOS QOL

短期・中期・長期ともの両群間で優位差はなし.

有害事象

両群間で優位差はなし.

解説

今回は変形性膝関節症(膝OA)に対するPRP療法とヒアルロン酸注射の
有効性を検証したメタアナリシスを紹介しました.

結果としては
長期的にはVAS、IKDCスコア、WOMACスコアがPRP療法グループで

優位な改善を示しました.

論文の著者は考察にて
PRP療法は長期的に痛みの軽減や膝関節機能が改善するメリットがあり
また、明らかなリスクもないため、膝OAの保存治療に幅広く活用できる
と結論づけています.

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