こんにちは。
理学療法士のnaoyaです。
今回は臨床で時折、遭遇するファットパッド症候群・踵部脂肪褥炎に対して
どのようなアプローチが有効なのかを考えてみました。
解剖
まずは解剖からおさらいしましょう。
踵骨の下には踵部脂肪体(Heel Fat Pad)と呼ばれる脂肪があります。
この脂肪帯によって、踵骨への直接かかる負担を減らす役割があります。
![](https://rehabilitation01.com/wp-content/uploads/2021/08/cats-2.jpg)
ファットパッド症候群(Heel Fat Pad Syndrome)とは
定義
踵部に繰り返し衝撃がかかり続けることにより、踵部脂肪体の力学的な安定性が損なわれ、
軟らかい踵部脂肪体と硬い踵骨との間でズレを起こす力(剪断力)が発生して
踵部に痛みを生じる疾患とされています。
原因
スポーツなどによる踵部脂肪帯にメカニカルストレスが生じて痛みが生じます。
踵部脂肪褥炎と違って若年~アスリートに発症しやすいです。
症状
・踵全体的に痛みがある
・踵部全体的に圧痛あり
・裸足で歩行すると痛み増強
治療
踵部脂肪帯に対するメカニカルストレスが要因であるため
まずは安静が重要となります。
また、 踵部脂肪帯への負担を軽減するためのテーピングやヒールカップを使用します。
踵部脂肪褥炎とは
定義
・荷重時に踵骨隆起下縁部に疼痛を生じ、同部位に圧痛があること
・踵骨隆起下縁部脂肪褥の硬度の低下・減少により、踵骨下縁部を容易に触知できること
原因
主な原因は加齢変化に伴い、脂肪帯の萎縮が生じて脂肪褥の硬化が減少します。
踵接地時に踵骨に直接荷重が伝わり痛みが生じていると言われています。
ファットパッド症候群と違い、中年以降に発症しやすいです。
症状
・歩行時の踵の痛み
・裸足歩行で疼痛増強
・踵骨隆起下縁部の圧痛
治療
効果的なのはテーピングです。
テーピングで踵部脂肪組織を周囲から引き寄せるように踵骨結節直下に集めて
衝撃吸収への負担を軽減させます。
ファットパッド症候群と踵部脂肪褥炎の違い
![](https://rehabilitation01.com/wp-content/uploads/2021/08/cats-1024x573.jpg)
有効なアプローチ
テーピング
踵骨脂肪帯にかかる負担を減らすために有効です。
基本的にはキネシオテーピングを使用して踵骨を囲むようにして
脂肪帯を中心に寄せることで痛みが軽減されます。
ヒールカップ
テーピングだと皮膚が荒れてしまう方などはヒールカップが有効です。
ヒールカップを使用することで踵部脂肪帯のクッションをサポートしてくれます。
インソール(足底板)
患者さんのなかには偏平足などアーチが低下していて
二次的に踵骨に負担が生じている方もいるため、足部アライメントを評価して
必要であればインソールを処方して再発予防をすることが重要です。
まとめ
今回は臨床で時折、遭遇する「踵の痛み」に対してまとめてみました。
ファットパッド症候群・踵部脂肪褥炎ともに保存療法が有効となります。
まずは安静や生活指導などで炎症の軽減を図り、痛みに応じて
テーピング、ヒールカップ、インソールなどを使用して
疼痛緩和に向けてアプローチしましょう。
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