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結帯動作の制限因子について考える

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こんにちは。
理学療法士のnaoyaです。

今回は肩関節疾患において難渋する結帯動作の制限について
解剖や運動学ベースエビデンスベースの両方から考えてみました。

本日の目次はこちらとなります。

結帯動作とは

結帯動作は
「エプロンを結ぶ」「下着の着脱」「背中を掻く」などに
要求される動作となります。

結帯動作は第1相~第3層までの3層に分けて評価されます。

評価方法としては母指が椎体のどのレベルまで到達したかを確認します。

第1相:L5レベル(ランドマーク:ヤコビー線)

第2層:Th12レベル(ランドマーク:第12肋骨)

第3層:Th7レベル(ランドマーク:肩甲骨下角)

結帯動作の運動学

結帯動作の正常な動きを理解するためには
肩関節肩甲骨に分けて考えることが重要となります。

肩関節の正常な動き

肩関節は「伸展」「内転」「内旋」方向に動きます。

肩甲骨の正常な動き

肩甲骨は「前傾」「下方回旋」方向に動きます。

また、第1相(L5)から第2層(Th12)までは肩関節の動きが主に占める
第2層(Th12)から第3層(Th7)までは肩甲骨の動きの割合が多くなると
言われています。

結帯動作の制限因子

以下に結帯動作の制限因子を挙げてみました。

烏口腕筋肩関節の伸展制限の因子

棘下筋肩関節の伸展・内旋制限の因子

小円筋肩関節の内旋制限の因子

烏口上腕靭帯肩関節伸展制限の因子

上後方関節包肩関節の内旋制限の因子

アプローチ方法

烏口腕筋のストレッチ方法

棘下筋のストレッチ方法

小円筋のストレッチ方法

タオルを使用したストレッチ方法

エビデンスのある治療法の紹介

結滞制限に対してどのようなアプローチ方法が効果的であるのかを
PubMedを使って調べてみました。

結帯制限をアウトカムにした論文はなかったため
結帯動作で必要な肩関節内旋の可動域をアウトカムにした論文を
代用のアウトカムとしています。

2016年に報告された論文によると

肩関節周囲炎の症例に対して関節モビライゼーションと肩甲帯モビライゼーション
の併用は関節モビライゼーション単独より可動域が優位に改善したと報告しています。

2017年に報告された論文によると

肩関節周囲炎の症例に対してマリガン手技を用いた
mobilization with movement (MWM)は内旋可動域の改善に
有効であると報告しています。

肩甲帯モビライゼーションの方法はこちらの動画を参考にしてみてください。

まとめ

今回は肩関節疾患で多い結滞制限に対しての評価やアプローチ方法を紹介しました。

解剖学・運動学の考え方では
結帯の初期の制限は肩甲上腕関節の可動域、最終域になると肩甲帯の可動性が
重要となるため、結帯制限のレベルによっても治療法が異なると思います。

エビデンスとしては関節モビライゼーションと肩甲帯モビライゼーション
の併用によって肩関節内旋可動域改善が優位に改善すると報告があります。

ぜひ、参考にしてみてください。

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