Physical Therapist-Delivered Pain Coping Skills Training and Exercise for Knee Osteoarthritis: Randomized Controlled Trial
DOI: 10.1002/acr.22744
ランダム化比較試験
本研究の目的は変形性膝関節症に対して
12週間の理学療法とpain coping skills training(PCST)の併用による
痛みや身体機能の効果を52週間にわたってフォローアップすることである.
取り込み基準
①50歳以上
②アメリカリウマチ学会で膝OAの診断基準を満たす
③3カ月以上の痛み
④VAS 40mm以上
⑤WOMAC physical function subscale 25点以上
222の患者がランダムに3つのグループに割り当てられた.
エクササイズ単独グループ
(exercise only group)
痛み対処スキルトレーニング単独グループ
(pain coping skills training only Group)
エクササイズ+痛み対処トレーニング 併用グループ
(exercise+pain coping skills training Group)

参加者の基礎情報は以下を参照

エクササイズグループは
大腿四頭筋、ハムストリングス、中殿筋のトレーニングなど
6つのエクササイズを25分間実施した.
※治療は12週間で10セッションの介入を実施.
※治療期間の12週間は自宅でも1週間に4回を行うように指導.
痛み対処スキルトレーニングは
疼痛教育と認知行動療法のトレーニングを45分間実施した.
認知行動療法の内容は
・活動と休息のサイクル
・快適な活動のスケジューリング
・問題解決
・マイナス思考の特定と挑戦
・対処思考の開発
・快適なイメージ
・逆算
・聴覚刺激
・アプリの使用
※治療は12週間で10セッションの介入を実施.
※治療期間の12週間は毎日スキルを練習するように指導された.
エクササイズと痛み対処トレーニングの併用グループは
25分間のエクササイズと45分間のpain coping skills trainingを
併用して実施した.
※治療は12週間で10セッションの介入を実施.
以下のアウトカムを開始時、12週(介入後)、32週、52週で測定した.
プライマリーアウトカム
- 痛み:VAS(平均)
- 機能:WOMAC physical function subscale
セカンダリーアウトカム
- 自覚的改善度:Global Rating of Change scale
※その他のセカンダリーアウトカムは割愛しています.

痛み:VAS(平均)
12週、32週、52週のフォローアップを通して
32週時点のみエクササイズ+痛み対処トレーニング併用グループ
で優位な改善を示した.
機能:WOMAC physical function subscale
12週、32週、52週のフォローアップを通して
全ての期間でエクササイズ+痛み対処トレーニング併用グループ
で優位な改善を示した.
自覚的改善度:Global Rating of Change scale
52週時点では
エクササイズ+痛み対処トレーニング併用グループの方が
自覚的に痛みや身体機能が改善したと回答した割合が優位に多かった.

今回は変形性膝関節症に対して
pain coping skills trainingの有効性を検証した論文を紹介しました.
結果としては
12週間のエクササイズとpain coping skills trainingの併用は
長期的に身体機能や疼痛の改善に有効であることが示されました.
近年、慢性の膝痛を有する膝OAの症例に
認知行動療法を取り入れた介入の有効性が報告されています.
その中で痛み対処トレーニングスキルは
日常生活で生じている膝痛に対してどのように向き合っていくかという視点で
認知行動療法を取り入れたトレーニングとなっています.
痛み対処トレーニングのメニュー例としては
・疼痛に合わせた身体活動のペース配分の学習
・ネガティブ思考からポジティブ思考への修正方法の学習
・現実的かつ楽しい目標設定の立案
など複数のプログラムから構成されています.
今回の論文から認知行動療法におけるpain coping skills trainingと
一般的なエクササイズを組み合わせ理学療法を12週間行うことで
痛みと身体機能の改善に有効であることが示されました.

慢性疼痛・認知行動療法について詳しく知りたい方は
こちらの記事がおススメです。

コメント