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変形性膝関節症に対する理学療法【複合的なホームエクササイズの有効性】

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タイトル

Home exercise therapy to improve muscle strength and joint flexibility effectively treats pre-radiographic knee OA in community-dwelling elderly: a randomized controlled trial

PMCID: PMC6342874 DOI: 10.1007/s10067-018-4263-3

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

本研究の目的はレントゲンを撮影する前の膝OA症状を有する地域在住高齢者を
対象に複数の筋力トレーニングと関節の柔軟性を取り入れたホームエクササイズ
の有効性を検証することである.

方法

取り込み基準
①一側性または両側性の膝の痛み
②45歳以上
③レントゲン撮影前の膝OA
④歩行補助具なしで歩行できる


除外基準
①膝の手術歴
②関節リウマチ
③膝関節周囲の骨折
④神経学的な欠損
⑤重度の膝OA

研究方法

100の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.


 膝関節・股関節の筋力トレーニング、膝関節のストレッチグループ
 (Multiple exercise group)

 大腿四頭筋の筋力トレーニング単独グループ
 (Control Group)

参加者の基礎情報は以下を参照

膝関節・股関節の筋力トレーニング、膝関節のストレッチグループ

10個のプログラムの中で個々に合わせて3つ行うように理学療法が指導.

1.椅子座位で大腿四頭筋の等張性運動
2.大腿四頭筋の等尺性運動
3.背臥位でのブリッジ運動:股関節伸展筋の運動
4.座位での股関節内転筋の等尺性運動
5.背臥位で股関節外転の等張性運動
6.側臥位で股関節外転の等張性運動
7.狭いスタンスでのスクワット
8.ワイドスタンスでのスクワット
9.座位でハムストリングスのストレッチ
10.側臥位で大腿四頭筋のストレッチ

※ホームエクササイズは
 10回 3セットを1週間に5回を4週間継続するように指導
※アドヒアランスを調査するため参加者は運動の有無を毎日カレンダーに記録した

コントロールグループ

コントロールグループは大腿四頭筋の筋力トレーニングのみを実施.

方法は椅子座位で大腿四頭筋の等張性運動を実施.

※ホームエクササイズは
 10回 3セットを1週間に5回を4週間継続するように指導
※アドヒアランスを調査するため参加者は運動の有無を毎日カレンダーに記録した

アウトカム

以下のアウトカムを開始時、4週(介入後)で測定した.

  • 痛み:VAS
  • 機能:Japanese Knee Osteoarthritis Measure(JKOM)
  • 筋力:大腿四頭筋
結果

痛み:VAS

複合的なトレーニンググループの方が優位に痛みの改善を示したが、
両群間での比較では優位差はなし.

機能:Japanese Knee Osteoarthritis Measure(JKOM)

両群間で比較すると
JCOMの下位尺度である日常生活と健康状態のみ
複合的トレーニンググループで優位な改善を示した.

筋力:大腿四頭筋

複合的なトレーニンググループの方が優位な改善を示したが、
両群間での比較では優位差はなし.

解説

今回は変形性膝関節症に対して
股関節と膝関節の複合的なホームエクササイズの有効性を検証した
論文を紹介しました.

結果としては
4週間の複合的なホームエクササイズは痛みと身体機能の

改善に有効であることが示されました.

注意点としては本研究の参加者は重度の膝OAは除外されているため
重度の変形がある症例に同様の効果があるかは不明となっています.

今回の論文からOKC、CKCから膝関節のストレッチと筋力トレーニング、
股関節の筋力トレーニングを選択的に併用することで
痛みと身体機能の改善に有効であることが示されました.

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