A randomized controlled trial of aquatic and land-based exercise in patients with knee osteoarthritis
ランダム化比較試験
本研究の目的は変形性膝関節症に対して水中エクササイズと陸上エクササイズを
比較して痛み、身体機能、QOL、バランス、筋力をモニターして
その有効性を検証することである.
取り込み基準
①アメリカリウマチ学会で膝OAの診断基準を満たす
②CPRが正常範囲
除外基準
①リウマチ
②恐水病
③失禁
④創傷
⑤知的障害
⑥膝関節周囲の骨折歴
⑦TKA術後
⑧炎症性疾患
⑨循環器疾患
⑩その他、エクササイズやプール療法が禁忌
79名の患者がランダムに3つのグループに割り当てられた.
水中エクササイズ グループ
(Aquatic exercise group)
陸上エクササイズ グループ
(Land-based exercise group)
コントロールグループ
(Control group)

参加者の基礎情報は以下を参照

水中エクササイズは主に以下の内容を実施.
・ウォームアップ(10分)
・筋力トレーニング、耐久性トレーニング(20分)
・バランス(10分)
・ストレッチ(5分)
・クールダウン(5分)
詳細は以下を参照

※エクササイズは週2回を8週間実施
陸上エクササイズは主に以下の内容を実施.
・ウォームアップ(10分)
・筋力トレーニング、耐久性トレーニング(20分)
・バランス(10分)
・ストレッチ(5分)
・クールダウン(5分)
詳細は以下を参照

※エクササイズは週2回を8週間実施
以下のアウトカムを開始時、8週(介入後)、20週で測定した.
- 痛み:VAS(安静時、歩行時)
- 機能:Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Score questionnaire (KOOS)
- バランス:開眼、閉眼を安定と不安定な床で測定
- 筋力:大腿四頭筋、ハムストリングス
8週時点のアウトカム

20週時点のアウトカム

痛み:VAS(安静時、歩行時)
8週時点では3つのグループで優位差はなし.
20週時点では安静時の痛みのみ
コントロールグループと比較して陸上エクササイズグループで
優位な改善を示した.
機能:KOOS
8週、20週ともに3つのグループで優位差はなし.
バランス
8週、20週ともに3つのグループで優位差はなし.

筋力:大腿四頭筋、ハムストリングス
20週時点のみ
陸上エクササイズグループで優位な改善を示した.
一方で水中エクササイズグループはコントロールグループと比較して
優位な筋力低下を示した.

今回は変形性膝関節症に対して
陸上エクササイズと水中エクササイズの効果を比較した論文を紹介しました.
結果としては
8週間の陸上エクササイズは20週時点での
安静時の痛みの軽減と筋力の改善に
有効であることが示されました.
しかし、今回の論文では
身体機能のスコアを示すKOOSに着目すると3つのグループで
優位な差は認められませんでした.
他のメタアナリシスでは陸上エクササイズは身体機能の改善に有効であると
報告されている論文もあり、今回の結果と矛盾が生じています.
論文の著者は考察にて
サンプルサイズが少ないことが影響しているのではと述べています.
今回の論文をまとめると
陸上エクササイズと水中エクササイズを比較すると
陸上エクササイズの方が安静時の痛みが優位に改善をしましたが
身体機能に関しては優位差はなく、効果は同様であることが示されました.

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