Stretching Exercise Versus Tissue Mobilization Technique in Piriformis Syndrome
ランダム化比較試験
梨状筋症候群に対する保存療法として理学療法、超音波、生態力学的異常の修正
が含まれている.
ストレッチは筋の粘弾性の改善や筋緊張の改善に有効であり、可動域改善、循環促進、
痛みの軽減の目的が挙げられる.
軟部組織モビライゼーションは関節、神経、筋の機能障害の改善に行われる.
先行研究では梨状筋症候群に対してストレッチや軟部組織モビライゼーションに対して
焦点を当てた介入は少ない.
よって、本研究の目的は梨状筋症候群に対して軟部組織モビライゼーションとストレッチを
比較してその有効性を検証することである.
取り込み基準
①20~55歳
②放散痛を問わない臀部の痛み
③FABER testとFAIR test 陽性
④亜急性~慢性の梨状筋症候群
⑤一側性の痛み
⑥VAS 3以上
除外基準
①馬尾神経症状、すべり症あり
②脊椎骨折
③脊椎手術歴
④リウマチ
⑤椎間板病変
32名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.
グループA
(ストレッチ グループ)
グループB
(軟部組織モビライゼーション グループ)
参加者の基礎情報は以下を参照

ストレッチグループは以下の内容を実施
・ストレッチ
・ホットパック
※理学療法は1週間に2回を4週間実施.
軟部組織モビライゼーショングループは以下の内容を実施
・軟部組織モビライゼーション
・ホットパック
※理学療法は1週間に2回を4週間実施.
以下のアウトカムを開始時、4週(介入後)で測定した.
- 痛み:VAS
- 機能:Roland Morris Disability Questionnaire(RDQ)
- ハミルトン不安尺度:Hamilton Anxiety Rating Scale (HAM-A)
痛み:VAS
両群ともに治療終了後の4週間時点では優位に痛みが改善した.
両群間で比較すると優位差はなし.
エフェクトサイズはストレッチグループの方が大きい値を示した.


機能:Roland Morris Disability Questionnaire(RDQ)
両群ともに治療終了後の4週間時点では優位に機能が改善した.
両群間で比較すると、ストレッチグループの方が優位に機能の改善を示した.
エフェクトサイズはストレッチグループの方が大きい値を示した.


ハミルトン不安尺度:Hamilton Anxiety Rating Scale (HAM-A)
両群ともに治療終了後の4週間時点では優位に不安尺度が改善した.
両群間で比較すると、優位差はなし.
エフェクトサイズはストレッチグループの方が大きい値を示した.


今回は梨状筋症候群に対してストレッチと軟部組織モビライゼーションで
痛み、機能、不安尺度を比較して、有効性を比較した論文を紹介しました.
結果としては
短期的にはストレッチの方が機能の改善や痛みの改善に有効である
ことが示されました.
両グループともに痛みや機能は優位に改善しているため
ストレッチ、軟部組織モビライゼーションともに有効ではありますが
ストレッチの方がエフェクトサイズが大きいため、より有効であることが
分かりました.
しかし、治療内容の詳細が記載されていないため、
治療時間やストレッチした筋肉、ストレッチの時間などが記述されていません.
よって、実際に患者さんに適応する場合にはこの論文と同様の
効果が得られるのか不明な部分があるため注意が必要だと思います.

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