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非特異的腰痛に対するクラシフィケーションアプローチ【Directional Preference編】

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タイトル

Does it matter which exercise?
A randomized control trial of exercise for low back pain

DOI: 10.1097/01.brs.0000146464.23007.2a

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

本研究の目的は腰痛の患者に対してマッケンジー法であるMechanical Diagnosis
and Therapy (MDT)を用いて腰痛をサブグループ分類に分けて有効性を検証する
ことである.
MDTで重要な点はDirectional Preference(DP)を見つけて、その動きを繰り返す
ことで症状が徐々に近位に移動するまたは消失する中心化現象(centralization)が
確認されることである.
よって、DPの方向へ反復する運動グループとDPと反対方向に反復する運動グループと
エビデンスベースの理学療法の3つのグループの効果を比較することにした.

※Directional Preferenceとは特定方向の運動により良い反応が出現することです.

方法

取り込み基準
①18~65歳
②腰痛あり(下肢症状あり/なし)
③Directional Preference(DP)あり


除外基準
①馬尾神経あり
②2つ以上の神経学的欠損あり
③脊椎骨折
④脊椎手術歴
⑤腰痛によって1年以上休職中
⑥骨粗鬆症、炎症、感染症
⑦妊婦
⑧英語が読めない
⑨マッケンジー法を知っている(患者バイアス)

研究方法

230名の患者がランダムに3つのグループに割り当てられた.

Matched グループ
(DPに一致した方向へ最終域への運動を実施)

Opposite グループ
(DPと反対方へ最終域への運動を実施)

Evidence based care (EBC) グループ
(腰部のエクササイズ、股関節・大腿のストレッチ)

参加者の基礎情報は以下を参照

介入内容

介入は以下の3グループに分類された

・DPに一致したグループ

・DPと反対のグループ

・エビデンスベースグループ

運動方向を決める際に中心化現象が出現する方向と一致した運動を
することが重要である.

よって、DPに一致したグループは
体幹屈曲、体幹伸展、体幹側屈動作を通してDirectional Preference(DP)
を見つけてその方向への反復した運動を実施.

※理学療法は2週間で最低3回、最大6回とした.

アウトカム

以下のアウトカムを開始時、2週(介入後)で測定した.

  • 痛み:VAS
  • 機能:Roland Morris Disability Questionnaire(RDQ)
  • 内服の使用頻度:Medication–total pills/day
  • うつ評価:Beck Depression Inventory(BDI)
  • 自宅・仕事での障害レベル(0~5段階):activity interference
結果

痛み:VAS

DPに一致したグループで優位な改善を示した.

機能:Roland Morris Disability Questionnaire(RDQ)

DPに一致したグループで優位な機能の改善を示した.

内服の使用頻度:Medication–total pills/day

DPに一致したグループの方が内服の回数が優位に減少した.

うつ評価:Beck Depression Inventory(BDI)

DPに一致したグループで優位な改善を示した.

自宅・仕事での障害レベル(0~5段階):activity interference

DPに一致したグループで優位な改善を示した.

解説

今回は特定方向の運動によって中心化現象が出現する症例に対して
Directional Preferenceに一致した運動の有効性を検証した論文を紹介しました.

結果としては
DPに一致したグループの方がアウトカムの優位な改善を示しました.

今回の研究を通して、腰痛の症例で体幹の屈曲や伸展などで
centralization(中心化現象)が出現する場合は、
その特定方向の動きによって
2週間で痛みや機能が短期的に改善することが分かりました.

また、今回の参加者でのDPの割合は
伸展:83%、屈曲:7%、側屈:10%
上記の結果からDPが生じる方向は脊椎伸展位が多くを占めていました.

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