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腰部脊柱管狭窄症の理学療法【徒手療法の有効性】

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タイトル

A comparison between two physical therapy treatment programs for patients with lumbar spinal stenosis: a randomized clinical trial

DOI: 10.1097/01.brs.0000241136.98159.8c

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

今回は腰部脊柱管狭窄症の参加者に対して異なる2つの理学療法プログラムを
実施して、その効果を検証することである.

方法

取り込み基準
①腰痛または下肢痛
②50歳以上
③MRIで狭窄症の所見あり
④立位・歩行より座位で症状緩和

除外基準
①重度の血管障害
②脊椎手術の既往
③脊椎腫瘍や感染症の既往
④脊椎圧迫骨折
⑤腰椎MRI禁忌

研究方法

58名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.

 腰椎屈曲エクササイズ+歩行グループ 
 Flexion Exercise and Walking Group (FExWG)

 徒手療法+腰椎屈曲エクササイズ+歩行グループ 
 Manual Physical Therapy, Exercise, and Walking Group (MPTExWG)

 

患者の基本情報は以下を参照

腰椎屈曲エクササイズ+歩行グループ

腰椎屈曲エクササイズグループに割り当てられた参加者は以下のプログラムを実施

・腰椎屈曲エクササイズ
 30秒間 片側または左右の膝を胸部につける(knee-to-chest exercises)

・トレッドミル
 快適歩行速度で症状が増悪しない時間まで実施(最大45分)

超音波
 10分間,3MHz,0.1W/cm2

※治療は週2回を合計6週間実施.
※腰椎屈曲エクササイズは自宅でも行うように指導した.

徒手療法+エクササイズ+歩行グループ 

徒手療法グループに割り当てられた参加者は以下のプログラムを実施

・徒手療法
 機能障害のある部位(脊椎、骨盤、下肢)に対して徒手療法を実施

・腰椎屈曲エクササイズ
 30秒間 片側または左右の膝を胸部につける(knee-to-chest exercises)

・免荷式トレッドミル(body-weight supported treadmill)
 快適歩行速度にて実施.
 免荷量は徐々に減らすことを目標とした

※治療は週2回を合計6週間実施.
※腰椎屈曲エクササイズは自宅でも行うように指導した.

アウトカム

以下のアウトカムを開始時、6週後(介入後)1年後長期で測定した.

  • 自覚的改善度:Global Rating of Change scale (GRC)
  • 能力障害:Oswestry Disability Index(ODI)
  • 自己記入式質問票:Spinal Stenosis Scale (SSS)
  • 痛み:NRS
  • 歩行距離:Treadmill Walking Test
結果

自覚的改善度:Global Rating of Change scale (GRC)

6週時点では徒手療法グループで優位な改善を示した.

徒手療法グループは79%の割合で自覚的改善を認めた.
一方で腰椎屈曲エクササイズグループは41%であった.

1年と長期では両群間での優位差はなし.

能力障害:Oswestry Disability Index(ODI)

徒手療法グループで6週、1年ともに優位な改善を示した.

自己記入式質問票:Spinal Stenosis Scale (SSS)

徒手療法グループで6週、1年ともに優位な改善を示した.

痛み:NRS

痛みに関しては両群ともに改善したが
両群間で比較すると優位差はなし.

歩行時間:Treadmill Walking Test

歩行距離は6週、1年ともに徒手療法グループで優位な改善を示した.

解説

今回は腰部脊柱管狭窄症の患者に対して徒手療法を併用することでの
短期、長期的な効果を比較検証した論文を紹介しました.

結果としては
徒手療法+腰椎屈曲エクササイズ+免荷式トレッドミルを6週間継続
することで自覚的改善度は短期的に有効であり、
能力障害や歩行距離は短期・長期ともに効果が期待できることが分かりました.

腰部脊柱管狭窄症の症状に間欠性跛行がありますが
今回の研究から腰椎屈曲エクササイズ+徒手療法によって
間欠性跛行の改善にも効果があることが分かりました.

腰部脊柱管狭窄症に対しては
腰椎屈曲エクササイズが有効であることが
報告されていますが、徒手療法を併用することで
更なる効果が期待できることが示されました.

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