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腰部脊柱管狭窄症に対する理学療法【集団エクササイズvs理学療法】

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タイトル

Comparative Clinical Effectiveness of Nonsurgical Treatment
Methods in Patients With Lumbar Spinal Stenosis
A Randomized Clinical Trial

PMCID: PMC6324321

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

腰部脊柱管狭窄症に対して非外科的介入におけるエビデンスが不足している
現状がある.
北米脊椎学会(North American Spine Society:NASS)が推奨している有効な
治療は硬膜外ステロイド注射と外科的減圧術のみである.
そこで保存療法のエビデンスを確立するため、ランダム化比較試験を用いて
症状、身体機能、身体活動の効果を検証することとした.

方法

取り込み基準
①MRIで狭窄症の所見あり
②60歳以上
③脊椎伸展で症状悪化、脊椎屈曲で症状緩和
④ショッピングカートを押して歩くと症状緩和
⑤歩行で症状悪化、座位で症状緩和
⑥間欠性跛行がある

除外基準
①脊椎手術の既往
②馬尾症状
③足関節上腕血圧比 0.8未満
④自力歩行困難
⑤転移性腫瘍

研究方法

259名の患者がランダムに3つのグループに割り当てられた.

 医学的管理:medical care

 集団エクササイズ:group-based exercise

 徒手療法+監督下エクササイズ:manual therapy+individualized exercise

 

患者の基本情報は以下を参照

医学的管理:medical care

medical careに割り付けられた参加者は以下の治療を実施

・薬物療法
 ①非麻薬性鎮痛薬②抗けいれん薬③抗うつ薬
 のいずれかまたは複数組み合わせて処方

・硬膜外ステロイド注射
 薬物療法の効果がない、重度の神経性跛行がある参加者に実施

・患者教育
 ストレッチング、活動的な生活の指導

※6週間の中で3回の診察を実施.
※訪問ごとに薬剤の反応を確認して、必要時、薬剤を変更した.

集団エクササイズ:group-based exercise 

グループエクササイズに割り当てられた参加者は
高齢者を対象とした指導付きのエクササイズクラスに参加した.

※週2回の低強度~中等度の運動を6週間実施.
※1回の運動は45分間とした.

徒手療法+監督下エクササイズ:manual therapy+individualized exercise 

徒手療法+監督下エクササイズに割り当てられた参加者は以下のプログラムを実施

・ウォームアップ
 自転車エルゴメーター

・徒手療法
 腰椎・股関節・仙腸関節モビライゼーション、神経モビライゼーション

・脊椎安定化エクササイズ

・ホームエクササイズ指導
 ストレッチング、筋力トレーニング

※週2回の理学療法を6週間実施.

アウトカム

以下のアウトカムを開始時、2カ月6カ月で測定した.

  • 自己記入式質問票:Swiss Spinal Stenosis questionnaire
  • 歩行距離:Self-paced walking test
  • 身体活動量:Physical activity ※アームバンド型加速度計を使用
結果

自己記入式質問票:Swiss Spinal Stenosis(SSS) questionnaire

2カ月では徒手療法グループの方が
医学的管理または集団エクササイズより優位な改善を示した.

6カ月では全てのグループで優位差はなし.

歩行距離:Self-paced walking test

2カ月では徒手療法グループの方が
医学的管理または集団エクササイズより優位な改善を示した.

6カ月では全てのグループで優位差はなし.

身体活動量:Physical activity

2カ月、6カ月ともに全てのグループで優位差はなし.

解説

今回は腰部脊柱管狭窄症の患者に対して
医学的管理または集団エクササイズまたは個別理学療法
による効果を検証した論文を紹介しました.

結果としては
6週間の個別での徒手療法やエクササイズ指導は2か月後の
身体機能の改善や歩行距離改善に効果があることが示されました.

しかし、6カ月後にはどの治療内容も効果は同様であるため
個別での理学療法は短期的にのみ有効であることが示されました.

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