Six-week high-intensity exercise program for middle-aged patients
with knee osteoarthritis:a randomized controlled trial
PMCID: PMC1187893
ランダム化比較試験
変形性膝関節症のガイドラインにおけるエクササイズの推奨のほとんどが
65歳以上の高齢者を対象とした研究に基づいている.
中年の対象者においても同様の効果が期待できるかは不明である.
よって、今回の研究の目的は35~65歳の変形性膝関節症を対象に
短期の高強度エクササイズによる痛み、身体機能、QOLの効果を
検証することである.
取り込み基準
①35~65歳
②KL分類 Ⅲ以上
除外基準
①炎症性関節炎
②ACL損傷
③半月板損傷
④股関節OA
⑤6カ月以内にTKA予定
65名の患者が2つのグループに割り当てられた.
エクササイズ グループ
(Exercise group)
コントロールグループ
(Control group)

参加者の基礎情報は以下を参照

エクササイズは有酸素運動と筋力トレーニングを実施した.
エクササイズの強度は最大心拍数の60%以上で設定された.
主なエクササイズは以下を参照
・自転車エルゴメーター(A)
・片脚起立(B)
・片脚ホップ(C)
・踏み台昇降(D)
・片脚スクワット(E)
・片脚ヒールレイズ(F)

※エクササイズは週2回を合計6週間実施.
※ホームエクササイズは上記のメニューの中で3つ行うように指導.
コントロールグループに割り当てられた参加者は
生活習慣を変えないように促された.
参加者には研究終了後に
運動教室やホームエクササイズ指導などが行われた.
以下のアウトカムを開始時、6週(介入後)、6カ月で測定した.
プライマリーアウトカム
- Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Scores (KOOS)
セカンダリーアウトカム
- Short Form-36 (SF-36)
Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Scores (KOOS)
KOOSの下位尺度である「生活の質」のみ
6週、6カ月ともにエクササイズグループで優位な改善を示した.
その他の下位尺度である
「痛み」「症状」「ADL」「スポーツレクリエーション」は
両群間で優位差はみられなかった.

Short Form-36 (SF-36)
SF-36の下位尺度である「精神的健康」のみ
6週時点でエクササイズグループで優位な改善を示した.

今回は中年の変形性膝関節症に対して高強度エクササイズが
痛みや身体機能に有効であるのかを検証した論文を紹介しました.
結果としては痛みや身体機能の改善に効果を見出すことは
出来ませんでした.
論文の著者は考察で
今回の参加者は中等度~重度(KL分類Ⅲ以上)を対象にしており
重度の変形性膝関節症に対して運動強度が高すぎたのではと
述べています.
今回の論文を踏まえると
中等度~重度の膝OA症例には高強度エクササイズを行っても
痛みや身体機能に良好な結果が得られるか不明ということが
分かりました.

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