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変形性膝関節症に対する理学療法【股関節外転筋のエクササイズを併用することでの効果】

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タイトル

Effect of hip abductor strengthening exercises in knee osteoarthritis:
a randomized controlled trial

PMCID: PMC7206683

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

膝内反変形を有する変形性膝関節症の患者は健常者と比較して
内転モーメントが高い傾向にあることが報告されている.
膝の内転モーメントが高いほど疾患の重症度や進行度が高くなると
報告されている.
また内転モーメントと痛みや機能障害に相関関係が生じている.
股関節外転筋力は歩行の立脚期において膝内転モーメントの減少に
大きな役割を果たすことが知られている.
よって、本研究の目的は変形性膝関節症を対象に股関節外転筋と大腿四頭筋の
エクササイズの併用による効果を検証することである.

方法

取り込み基準
①50歳以上
②歩行補助具なしで歩行可能
③膝90°以上屈曲可能
④膝内反角度10°未満(X線画像)
⑤KL分類 Ⅱ~Ⅲ

除外基準
①炎症性関節炎
②変形性股関節症
③股関節・膝関節に人工関節の既往あり
④関節内注射歴(6カ月以内)

研究方法

97名の患者が2つのグループに割り当てられた.


 股関節外転筋+大腿四頭筋のエクササイズ
 (Hip exercise
group)

 大腿四頭筋のエクササイズ
 Control group

参加者の基礎情報は以下を参照

股関節外転筋+大腿四頭筋のエクササイズ グループ

大腿四頭筋のエクササイズは以下の内容を実施

・座位での膝関節伸展運動(等尺性収縮運動)

股関節外転筋のエクササイズは以下の内容を実施

・側臥位での股関節外転運動

※各エクササイズは10回 4セットを朝・夕に行うように指導.
※エクササイズは週3回を合計10週間実施.

大腿四頭筋のエクササイズ グループ

大腿四頭筋のエクササイズは以下の内容を実施

・座位での膝関節伸展運動(等尺性収縮運動)

※エクササイズは10回 4セットを朝・夕に行うように指導.
※エクササイズは週3回を合計10週間実施.

アウトカム

以下のアウトカムを開始時2週、4週、6週、8週、10週(介入後)で測定した.

  • Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Scores (KOOS)

結果

Knee Injury and Osteoarthritis Outcome Scores (KOOS)

KOOSの下位尺度である
「痛み」「症状」「日常生活」「スポーツレクリエーション活動」「生活の質」
全ての項目において
両群間で比較すると優位差はなし.

しかし、両群ともに
10週時点ではKOOSの優位な改善を示して、
臨床的に重要な最小変化(MCID)の8点を
満たした.

解説

今回は変形性膝関節症に対して
股関節外転筋と大腿四頭筋のエクササイズの併用による
効果をKOOSをアウトカムにして検証した論文を紹介しました.

結果としては10週間の股関節外転筋+大腿四頭筋のエクササイズ
は大腿四頭筋単独のエクササイズと比較して優位差はなく
効果は同様であることが示されました.

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