Surgery versus nonsurgical treatment of lumbar spinal stenosis: a randomized trial
DOI: 10.7326/M14-1420
ランダム化比較試験
本研究の目的は手術適応である腰部脊柱管狭窄症に対して手術と理学療法
で有効性を比較することである.
クロスオーバーを減らすために患者は手術を同意した後にランダムに割り付けた.
取り込み基準
①MRI画像で腰部脊柱管狭窄症と診断
②整形外科医によって外科的減圧術の同意を受けた
③間欠性跛行あり
④無作為に手術または理学療法に割り付けられることに同意
除外基準
①50歳以下
②重度認知症
③重度の血管障害
④脊椎固定術が必要なレベルの腰椎すべり症
⑤除圧する部位に圧迫骨折あり
⑥腫瘍
169名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.
手術グループ
理学療法グループ

参加者の基礎情報は以下を参照

脊椎外科医によって手術が実施された.
手術内容は椎弓切除術、部分的な椎間関節切除術を実施.
脊椎固定術をした患者はいなかった.
入院期間は平均3日、術後1日目から段階的な歩行練習を実施.
理学療法グループに割り付けられた患者は
以下の介入内容を実施された.
・腰椎屈曲運動(lumbar flexion exercises)
骨盤後傾運動、四つ這い位姿勢での脊椎屈曲運動、背臥位姿勢でのknee-to-chest
・一般的なエクササイズ
静的サイクリングまたはトレッドミル、下肢筋力運動(スクワットなど)
ストレッチ(ハムストリングス、腸腰筋など)
・患者教育
腰椎過伸展の姿勢・動作は控える
※理学療法は週2回を合計6週間実施した.
※患者には研究期間中にいつでも手術グループに移行できると説明
以下のアウトカムを開始時、10週、6カ月、1年、2年で測定した.
- SF-36 physical function:プライマリーアウトカム
- Oswestry Disability Index (ODI)
- North American Spine Society(NASS)


SF-36 physical function
両群間で比較すると優位差はなし.
理学療法グループは平均19.2点の改善
手術グループは平均22.4点の改善

Oswestry Disability Index (ODI)
両群間で比較すると優位差はなし.
North American Spine Society
両群間で比較すると優位差はなし.
今回は腰部脊柱管狭窄症の参加者に対して
手術と理学療法でSF-36の身体機能のスコアを2年まで
フォローアップした論文を紹介しました.
結果としては
短期・中期・長期ともにプライマリーアウトカムであるSF-36 身体機能は
両群間で優位差はありませんでした.
理学療法グループから手術グループにクロスオーバーした
割合は47人/82人で57%がクロスオーバーとなっています.
しかし、論文の筆者としては別の統計手法(CACEやIPW)を使っても
データの解釈は同じであるため、クロスオーバーを考慮しても
両群間での優位差はないと述べています.
今回の論文を踏まえると
腰部脊柱管狭窄症で手術適応レベルの症例に対して
週2回、6週間の理学療法を行うことで
手術と同様に長期的な効果があることが分かりました.

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