整形外科のアウトカム一覧のダウンロードはこちら

足底腱膜炎に対する深部マッサージは超音波より有効?

スポンサーリンク
スポンサーリンク
タイトル

Deep massage to posterior calf muscles in combination with neural mobilization exercises as a treatment for heel pain: a pilot randomized clinical trial

DOI: 10.1016/j.math.2013.08.001

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

本研究の目的は下腿後面への深部マッサージとセルフストレッチの組み合わせが
超音波とセルフストレッチの組み合わせと比較して痛みや機能の改善に
有効なのかを検証することである.

方法

取り込み基準
①一定期間安静後、最初の歩行で足底に痛みあり
②活動すると痛みが徐々に改善


除外基準
①全身性疾患
②腫瘍
③骨折
④長期間のステロイド使用
⑤重度の血管疾患
⑥下肢の手術歴

研究方法

72名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.

深部マッサージ+セルフストレッチグループ
deep massage + self-stretch exercise group(DMS)

超音波+セルフストレッチグループ
ultrasound therapy + self-stretch exercise group(USS)

参加者の基礎情報は以下を参照

DM:深部マッサージ+ストレッチグループ USS:超音波+ストレッチグループ
深部マッサージ+セルフストレッチグループ

・深部マッサージ
・セルフストレッチ(腓腹筋、ヒラメ筋)
・神経筋モビライゼーション


深部マッサージは下腿後面に対して10分間実施された.
方法は以下の写真を参照.

ストレッチは腓腹筋、ヒラメ筋に対して20秒保持、10秒休憩を各5セット実施.
方法は以下の写真を参照.

神経筋モビライゼーションは
背臥位でSLRポジションで足関節を背屈するようにバンドを使用して実施.
方法は以下の写真を参照.


※治療期間は6週間実施
※治療回数は合計8セッション

超音波+セルフストレッチグループ

・超音波
・セルフストレッチ(腓腹筋、ヒラメ筋)

超音波は痛みのある部位に対して
1 MHz、1.0 W/cm2、照射時間率 100%で3分間実施した.

セルフストレッチは
深部マッサージを受けたグループと同様のストレッチを実施した.

※治療期間は6週間実施
※治療回数は合計8セッション

アウトカム

以下のアウトカムを開始時6週(介入後)で測定した.

  • Foot & Ankle Computerized Adaptive Test
  • 痛み:VAS
結果

Foot & Ankle Computerized Adaptive Test

両群間で比較すると
深部マッサージ+ストレッチを組み合わせグループの方が
優位な改善を示した.

深部マッサージグループは介入前後で15点の改善
超音波グループは介入前後で6点の改善

MCIDは8点のため、
深部マッサージグループのみMCIDを満たすことができた.

痛み:VAS

介入後は両群ともに優位な改善を示したが、
両群間で比較すると、優位差はなし.

解説

今回は足底腱膜炎の症例に対して
深部マッサージ+ストレッチ+神経筋ストレッチ超音波+ストレッチ
の2つの治療で痛みや機能の改善を比較検証した論文を紹介しました.

結果としては
6週間の深部マッサージを併用したグループの方が

短期的には足関節機能の改善に有効であることが示されました.

注意点としては
論文の著者が考察で述べていますが、深部マッサージを受けたグループは
神経筋ストレッチを組み合わせており、コントロールグループは超音波であるため
比較対象の治療が異なる点に配慮が必要だと思います.

また、フォローアップ期間がないため、長期的な効果は不明となっています.

今回の論文を踏まえると、足底腱膜炎に対して
下腿三頭筋に対する深部マッサージが短期的に足関節機能の改善に
有効であることが分かりました.

コメント