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足底腱膜炎に対する関節モビライゼーションの有効性

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タイトル

The effect of additional ankle and midfoot mobilizations on plantar fasciitis:
a randomized controlled trial

DOI: 10.2519/jospt.2015.5155

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

多くの研究で足関節背屈制限が足底腱膜炎の一つの誘因であると述べられている.
先行研究によって足関節への関節モビライゼーションやマニュプレーションが
足関節背屈可動域の改善に有効であることが示されている.
足関節背屈の制限因子が足底腱膜炎の誘因である可能性が証明されているにも
かかわらず、治療後の足関節背屈可動域と足底腱膜の痛みを直接比較した
研究はない.
そこで、本研究の目的は足底腱膜炎の症例に対して
距腿関節、距骨下関節、中足骨に対しての関節モビライゼーションが痛みや機能
の改善に有効であるのかを検証することである.

方法

取り込み基準
①18~75歳
②NRS 3以上の足底の痛み
③起床後の最初の1歩での足底の痛み
④長時間、足部を免荷後の荷重での足底の痛み


除外基準
①腫瘍
②長期間のステロイドの使用
③下肢の手術歴
④妊婦

研究方法

50名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.

介入グループ

コントロールグループ

参加者の基礎情報は以下を参照

コントロールグループ

コントロールグループの治療は
・ストレッチ(腓腹筋、ヒラメ筋、足底腱膜)
・超音波(1 MHz、1.5 W/cm2,、50%パルス幅、5分間)

ストレッチの内容は以下の図を参照


※ストレッチは自宅でも行うよう指導
※治療期間は4週間実施
※治療回数は合計8セッション

介入グループ

介入グループの治療内容はコントロールグループと同様の
ストレッチと超音波の治療に加えて徒手療法を併用した.

徒手療法の内容は
・距腿関節の前方から後方への関節モビライゼーション(非荷重位と荷重位)
・距骨下関節のモビライゼーション(内反、外反)
・横足根関節のモビライゼーション(回内、回外)

徒手療法の方法は以下の図を参照

※ストレッチは自宅でも行うよう指導
※治療期間は4週間実施
※治療回数は合計8セッション

アウトカム

以下のアウトカムを開始時6週で測定した.

  • Lower Extremity Functional Scale (LEFS)
  • 痛み:NRS
  • 圧痛閾値
  • 足関節背屈可動域:下記の写真のように測定
結果

Lower Extremity Functional Scale (LEFS)

両グループともに優位に改善を示したが、両群間で比較すると優位差はなし.

痛み:NRS

両グループともに優位に改善を示したが、両群間で比較すると優位差はなし.

圧痛閾値

両グループともに優位な改善はなし.

足関節背屈可動域

両グループともに優位に改善を示したが、両群間で比較すると優位差はなし.

解説

今回は足底腱膜炎の症例に対して
ストレッチ+超音波ストレッチ+超音波+徒手療法
この2つの治療での足関節機能、痛み、可動域、圧痛閾値を比較検証
した論文を紹介しました.

結果としては
4週間の徒手療法を併用した治療を行っても

最終的なアウトカムに差はなく、治療効果は同様であることが示されました.

論文の筆者は考察にて
足底腱膜炎の症例への関節可動域制限が関節のスティフネスではなく
下腿三頭筋の短縮が原因であるという報告もあるため、
関節モビライゼーションではなく軟部組織に焦点をあてた徒手療法が有効
ではないかと結論づけています.

私が調べた他のランダム化比較試験でも
下腿三頭筋や足底腱膜への軟部組織モビライゼーションや
下腿三頭筋のトリガーポイントへの徒手療法が
有効であると報告した論文があるため
足底腱膜炎に対しては軟部組織モビライゼーションが有効なのではと思います.

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