整形外科のアウトカム一覧のダウンロードはこちら

足底腱膜炎に対してトリガーポイントへの徒手療法は有効?

スポンサーリンク
スポンサーリンク
タイトル

Effectiveness of myofascial trigger point manual therapy combined with a self-stretching protocol for the management of plantar heel pain: a randomized controlled trial

DOI: 10.2519/jospt.2011.3504

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

Simonsらは腓腹筋のトリガーポイントが足底の痛みに関与していると報告している.
トリガーポイントとは硬結内の圧痛点であり、圧迫・収縮・伸長により痛みが生じる.
トリガーポイントによる筋肉の硬さは足底筋膜炎に対するストレッチの効果を低下
するおそれがある.
したがって、軟部組織への介入は足底筋膜炎に対するストレッチの効果をさらに
増加させる可能性がある.
よって、本研究の目的はトリガーポイントによる徒手療法とストレッチの併用
とストレッチ単独による効果を比較検証することである.

方法

取り込み基準
①18~60歳
②体重をかけると足底に痛みが出現
③起床後、最初の1歩で足底に痛みが誘発


除外基準
①徒手療法禁忌(腫瘍、骨折、リウマチなど)
②下肢の手術歴
③線維筋痛症
④徒手療法の治療歴あり

研究方法

60名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.

セルフストレッチグループ
self-stretching (Str)

セルフストレッチ+トリガーポイント徒手療法
self-stretching+soft tissue TrP manual therapy (Str-ST)

参加者の基礎情報は以下を参照

セルフストレッチグループ

セルフストレッチグループの内容は

・ヒラメ筋と腓腹筋のストレッチ
・足底腱膜のストレッチ

A:ヒラメ筋ストレッチ B:腓腹筋ストレッチ
足底腱膜ストレッチ

※ストレッチは20秒保持、20秒休憩を各3分間実施
※治療は1週間に4回を4週間受けた

セルフストレッチ+トリガーポイント徒手療法

セルフストレッチと徒手療法の併用グループは
セルフストレッチグループ同様の治療に加えて
筋硬結に対する徒手療法を実施した.

トリガーポイントの場所は下記の図や圧痛、攣縮などを参考に確定された.

徒手療法の内容は
・内側・外側の腓腹筋に対しての筋膜リリース
・Neuromuscular Technique:神経筋テクニック

上記の内容の軟部組織モビライゼーションを実施した.

腓腹筋内側頭に対しての筋膜リリース

筋膜リリースの方法
軟部組織の緊張が緩和するまで
トリガーポイントへ持続的な圧刺激を加える.
緊張が緩和するまで90秒程度保持を3回繰り返して実施した.

神経筋テクニック

神経筋テクニックの方法
患者は腹臥位となり、腓腹筋に対して母指を遠位から近位に
ゆっくりと痛みが生じない圧刺激でストロークする.

※ストレッチは20秒保持、20秒休憩を各3分間実施
※治療は1週間に4回を4週間受けた

アウトカム

以下のアウトカムを開始時、4週(介入後)で測定した.

  • QOL:SF-36 questionnaire
  • 圧痛閾値:pressure pain thresholds (PPT)
結果

QOL:SF-36 questionnaire

SF-36の下位尺度である身体機能(physical function)、身体苦痛(bodily pain)、
全体的健康感(general health)、 精神(emotional role)の4項目は
ストレッチ+徒手療法グループで優位な改善を示した.

圧痛閾値:pressure pain thresholds (PPT)

腓腹筋、ヒラメ筋、踵骨の圧痛閾値は
ストレッチ+徒手療法グループで優位な改善を示した.

解説

今回は足底腱膜炎の症例に対してストレッチとトリガーポイントへの徒手療法
の併用とストレッチ単独でSF-36と圧痛閾値を比較した論文を紹介しました.

結果としては
ストレッチとトリガーポイントへの軟部組織の徒手療法を4週間行うことで

SF-36や圧痛閾値が優位に改善することが分かりました.

フォローアップ期間がないため、長期的な効果は不明ですが
短期的にはストレッチとトリガーポイントへの軟部組織への徒手療法
を組み合わせことで痛みの改善に有効であることが示されました.

コメント