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足底腱膜炎に対する理学療法の効果

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タイトル

Effectiveness of physical therapy treatment in addition to usual podiatry management of plantar heel pain: a randomized clinical trial

PMCID: PMC6935140

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

足底の痛みに対して多くの患者は足病医の治療を受けるが、その中で理学療法の
治療を受ける患者は少ない.アメリカでは足底のケアを求める患者のうち最初に診断を
受けてから30日以内に理学療法を受ける患者はわずが7%であると言われている.
理学療法士による治療は足底の痛みに対してさらなる改善をもたらす可能性がある.
そこで本研究の目的は足底腱膜炎に対して理学療法を併用することでの効果を
検証することである.

方法

取り込み基準
①18~70歳
②足底腱膜炎と診断あり
③圧痛
④起床時の最初の1歩で痛みあり
⑤日中の体重負荷で痛みあり


除外基準
①foot and ankle ability measure activities of daily living subscale (FAAM) score
 が100点中88点以上(100点に近いほど機能障害なし)
②1年以上症状あり
③足部、足関節・下肢の手術歴
④神経根症状あり
⑤徒手療法禁忌(リウマチ、腫瘍、全身性疾患など)

研究方法

95名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.

足専門医によるケア+理学療法
podiatric care (uPOD)+physical therapy

足専門医によるケアのみ
podiatric care (uPOD) 単独

参加者の基礎情報は以下を参照

足専門医によるケア+理学療法

理学療法の内容は
・徒手療法
・患者教育
・ストレッチ
・レジスタンストレーニング

足専門医によるケアの内容は
・足底腱膜炎に対する教育
・支持性のある靴を着用することを指導
・必要に応じて投薬とインソール処方
・資料の配布:下腿と足底のストレッチ

※可能な限り週1回の理学療法を受けるよう予約
参加者は最終的に平均4回の理学療法を受けた

足専門医によるケアのみ

足専門医によるケアの内容は
・足底腱膜炎に対する教育
・支持性のある靴を着用することを指導
・必要に応じて投薬とインソール処方
・資料の配布:下腿と足底のストレッチ資料


※参加者は最終的に平均2回、足専門医を訪れた

アウトカム

以下のアウトカムを開始時、6週6カ月1年で測定した.

  • 機能:Foot and Ankle Ability Measure (FAAM)
  • 痛み:NRS
  • Global rating of change scale(GRC)
結果

機能:Foot and Ankle Ability Measure (FAAM)

両群ともに優位に改善を示したが、両群間での優位差はなし.

痛み:NRS

6週と1年の測定では
足専門医によるケア+理学療法のグループで優位な改善を示した.

6カ月時点での両群間の比較は優位差はなし.

Global rating of change scale(GRC)

自覚的改善度は両群ともに増加したが、両群間での優位差はなし.

解説

今回は足底腱膜炎に対する通常のケアに加えて理学療法を併用
することでの機能障害や痛みの効果を検証した論文を紹介しました.

結果としては
プライマリーアウトカムであるFoot and Ankle Ability Measure (FAAM)は
両群間の比較で優位差はありませんでした.


セカンダリーアウトカムである痛みに関しては
6週、1年で理学療法を併用したグループで優位な改善を示しました.

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