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偏平足に対するエクササイズと神経電気刺激の効果

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タイトル

Effects of the Short Foot Exercise With Neuromuscular Electrical Stimulation on Navicular Height in Flexible Flatfoot in Thailand: A Randomized Controlled Trial

PMCID: PMC6686109

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

偏平足は成人に生じる筋骨格性の疾患であり、体重をかけた際に内側縦アーチが
低下することが特徴である.
FiolkowskiらHeadleeらは拇趾外転筋の活動が低下すると舟状骨落下が大きくなると
報告している.
よって、拇趾外転の筋力強化は踵骨回外や内側縦アーチの挙上に有効である.
拇趾外転筋の筋力強化の方法はタオルギャザーやshort foot exerciseや電気刺激が
用いられる.
short foot exerciseは足部内在筋のトレーニングとして一般的に使用される.
short foot exerciseによって舟状骨落下を防ぎ、内側縦アーチの低下を防ぐことが
可能である.
また、拇趾外転筋に対しての電気刺激が舟状骨落下を軽減するという報告がある.
さらに、電気刺激とトレーニングの併用がトレーニング単独より筋力強化に効果的
であるという報告もある.
過去の研究で偏平足に対して拇趾外転筋に対するshort foot exerciseと電気刺激の
短期的な効果の報告はない.そこで本研究の目的は無症候性の偏平足の症例に対して
short foot exerciseと電気刺激の併用とshort foot exercise単独を比較して
舟状骨落下の影響を検証することである.

方法

取り込み基準
①偏平足の診断あり


除外基準
①足関節・足部の痛み
②外反膝
③後脛骨筋の機能不全
④脚長差あり
⑤腓腹筋の短縮
⑥糖尿病
⑦心臓ペースメーカー
⑧皮膚疾患
⑨神経筋疾患

研究方法

36名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた

short foot exercise (SFE)+neuromuscular electrical stimulation (NMES)
ショートフットエクササイズ+電気刺激

short foot exercise (SFE)+placebo neuromuscular electrical stimulation (NMES)
ショートフットエクササイズ+プラセボ電気刺激

患者の基礎情報は以下を参照

ショートフットエクササイズ+電気刺激

ショートフットエクササイズは地面に足部を設置した座位で実施.
合計30回を繰り返して、1回ごとに5秒間保持するよう指導.

神経電気刺激は拇趾外転筋に対して合計30分間実施した.

※週3回を4週間実施した.
※1回の介入時間は45分とした.

ショートフットエクササイズ+プラセボ電気刺激

同様のショートフットエクササイズを実施.
また、プラセボの電気刺激を30分間実施した.

※週3回を4週間実施した.
※1回の介入時間は45分とした.

アウトカム

以下のアウトカムを開始時4週後(介入後)で測定した.

  • 舟状骨の高さ:プライマリーアウトカム
  • 拇趾外転筋の筋力
  • 拇趾外転筋の筋活動:表面筋電図を使用して測定
結果

舟状骨の高さ:プライマリーアウトカム

両グループともに舟状骨の高さは増加したが、両群間で優位差はなし.

ショートフットエクササイズ+電気刺激のグループ:0.09mm増加
ショートフットエクササイズ単独のグループ:0.04mm増加

拇趾外転筋の筋力

両グループともに筋力は増加したが、両群間で優位差はなし.

拇趾外転筋の筋活動

両群ともに介入後は筋活動が優位に増加した.

両群間での比較では
ショートフットエクササイズ+電気刺激のグループで優位に
拇趾外転筋の筋活動の増加が認められた.

解説

今回は健康な人を対象に偏平足を呈している症例に対して
ショートフットエクササイズと電気刺激の併用によって
内側縦アーチの改善を検証した論文を紹介しました.

結果としては
ショートフットエクササイズ+電気刺激によって

拇趾外転筋の筋活動は優位な差を示しましたが
舟状骨の高さは両群間で優位差はありませんでした.

注意点としては
今回の症例は無症候性の偏平足であるため、症候性の偏平足に対しての
効果は不明である点や参加者が20歳前後であり比較的若年層である点を
考慮する必要があります.

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