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肩関節周囲炎に対する鍼治療と理学療法の併用の効果

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タイトル

Acupuncture for frozen shoulder

PMID: 11773673

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

肩関節周囲炎に対して鍼治療は有効であると報告されている.
しかし、これらの臨床研究はランダム化比較試験ではない現状がある.
よって、本研究の目的は肩関節周囲炎に対する鍼治療の有効性を
ランダム化比較試験を用いて短期・中期の効果を検証することである.

方法

取り込み基準
①肩関節周囲炎の診断あり
②1カ月以上~12カ月未満の肩の痛み
③可動域制限あり(屈曲と外転90°未満、外旋30°未満)
④夜間時痛ありかつ、患側下の側臥位が困難


除外基準
①肩関節の外傷や手術歴
②頚椎症性神経根症、麻痺、その他の神経学的所見あり
③骨折、炎症性関節炎、消化器疾患、精神疾患、腫瘍
④腱板損傷(Painful arc sign陽性)

研究方法

患者がランダムに2つのグループに割り当てられた

エクササイズグループ

エクササイズ+鍼治療グループ

患者の基礎情報は以下を参照

肩関節周囲炎の発症期間は
エクササイズグループ:7.1カ月±3.9カ月
エクササイズ+鍼治療グループ:5.5カ月±1.6カ月

エクササイズグループ

エクササイズグループは
愛護的なストレッチ(内外旋、内転、屈曲)
・ホームエクササイズ指導(資料参照)
 朝・昼・夜 各10回行うよう指導

※週2回を6週間実施した.
※1回の介入時間は30分とした.

エクササイズ+鍼治療グループ

エクササイズグループ同様のプログラムに加えて
週2回 6週間の鍼治療を実施.

鍼治療はZhongping pointを選択.
左肩関節周囲炎の場合は右、右肩関節周囲炎の場合は左に
相反する鍼治療を行った.
鍼は20分間保持して、その間に機能的な運動(屈曲、外転、内転など)を行った.

アウトカム

以下のアウトカムを開始時6週(介入後)、20週で測定した.

  • 機能:Constant-Murley score (CMS)
結果

機能:Constant-Murley score (CMS)

両群間で比較すると、
12週時点ではエクササイズと鍼治療の併用グループで優位な結果を示した.

6週時点では両群間で優位差なし.

平均スコアで比較すると6週、20週ともにエクササイズ単独より
鍼治療とエクササイズ併用の方が優位な結果を示した.

解説

今回は肩関節周囲炎に対してエクササイズと鍼治療の併用の有効性を
検証した論文を紹介しました.

結果としては
エクササイズと鍼治療の併用は短期・中期で肩関節機能の改善に
有効であることが示されました.

臨床で働いていると時折、患者さんから「鍼治療は効果ありますか?」と
聞かれることがあります.
そこで今回はこのような論文を紹介しました.
今回の論文を踏まえると、理学療法と鍼治療の併用も効果的
なのではと思います.

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