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肩関節周囲炎に対する鍼治療は効果的?

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タイトル

The Effectiveness of Acupuncture in the Treatment of Frozen Shoulder:
A Systematic Review and Meta-Analysis

PMCID: PMC7532995

研究デザイン

システマティックレビュー・メタアナリシス

目的

鍼治療は何千年にもわたって患者に使用さてきた.
Jainらのレビューでは肩関節周囲炎に対して鍼治療と理学療法の併用は中等度レベル
の推奨があると述べている.また、彼らは肩関節周囲炎に対する鍼治療は痛みの軽減や
可動域改善に効果があると述べている.
Jain and Sharmaらのレビューでは電気鍼治療(electro-acupuncture)は短期的な痛み
の改善に効果があると述べている.
2005年のCochrane reviewでは9件の研究が含まれてるが、サンプルサイズが少なく
研究の質が低いため鍼治療を支持する優位な結果は生じなかった.
2007年のシステマティックレビューでは6件の臨床試験しか含まれておらず
研究数の少なさから肩関節周囲炎に対する鍼治療の有効性を推奨することは
できなかった.
よって、本研究の目的はより多くの臨床研究を含めた肩関節周囲炎に対する
鍼治療の有効性を検証することとした.

方法

1999年~2020年の論文を抽出した.
最終的に13件の論文が組み入れ基準を満たした.

論文の内容

肩関節周囲炎のステージは
炎症期(freezing stage)が2件
拘縮期・凍結期(frozen stage)が8件
回復期(thawing stage)が1件
記述なしが2件

コントロール群は
理学療法+ 衝撃波、NSAIDs+ステロイド注射+経口オピオイド+TENS、
理学療法、ホームエクササイズ、干渉波+エクササイズ、プラセボ鍼治療
などが比較されています.

論文の批判的吟味

GRADE system(グレードシステム)に基づいて論文の質を評価.

アウトカム

以下のアウトカムを測定.

  • 機能:Constant Murley Score
  • 痛み:VAS
  • 可動域:屈曲、外転、外旋
結果

機能:Constant Murley Score

フォローアップ:6週~3カ月
鍼治療とコントロールでは鍼治療で優位な結果を示した.

fふぉフォローアップフォローアップ:1ssyしゅし

痛み:VAS

フォローアップ:0~12週
鍼治療とコントロールでは鍼治療で優位な結果を示した.

フォローアップ:4~6週
鍼治療とコントロールでは鍼治療で優位な結果を示した.

フォローアップ:6週~3カ月
鍼治療とコントロールでは鍼治療で優位な結果を示した.

可動域

6週間のフォローアップでの自動屈曲
鍼治療で優位な結果を示した.

6週間のフォローアップでの自動外転
両群間での優位差はなし.

6週間のフォローアップでの自動外旋
両群間での優位差はなし.

解説

今回は肩関節周囲炎に対して鍼治療は痛みの改善と機能障害の改善に
有効なのかを検証したシステマティックレビューを紹介しました.

結果としては
コントロール群と比較すると鍼治療の方が

痛み、機能、可動域(屈曲)に優位な結果を示すことが分かりました.

注意点としては
今回抽出された13件の論文の質(グレード)は全般的に低く、
バイアスを考慮する必要があります.
また、フォローアップは1カ月~3カ月のため、長期的な効果が不明となっています.

論文の著者は考察にて
今後は大規模なランダム化比較試験が必要であることや
長期的なフォローアップが必要であることを述べています.

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