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腱板断裂に対するリハビリテーション【手術vs理学療法】

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タイトル

Comparison between surgery and physiotherapy in the treatment of small and medium-sized tears of the rotator cuff: A randomised controlled study of 103 patients with one-year follow-up

DOI: 10.1302/0301-620X.92B1.22609

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

本研究の目的は腱板断裂(小断裂~中断裂)に対して理学療法と手術の
1年後のアウトカムを比較することである.

方法

取り込み基準
①腱板断裂(1cm以内、1cm~3cm)
②運動時痛または安静時痛
③painful arc sign +
④impingement signs+
⑤他動での外転と屈曲の可動域140°以上
⑥外傷性または非外傷性


除外基準
①18歳以下
②完全なる手術適応
③全身性疾患
④肩関節への手術歴
⑤医学的合併症
⑥フォローアップ困難

研究方法

103名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた

理学療法グループ

手術グループ

患者の基礎情報は以下を参照
平均年齢は理学療法群では61歳、手術群では59歳

研究の流れは以下を参照

理学療法の内容

主な内容は

・上半身の姿勢改善
・肩甲胸郭関節と肩甲上腕関節の筋のコントロールと安定性の改善

主な目的は上腕骨頭の求心位を獲得するために回旋筋腱板に対して
遠心性と求心性のトレーニングを実施

また、腱板トレーニング中は肩甲帯の安定化を意識して実施.

※介入は週に2回を12週間実施
※1回の介入時間は40分
※15セッションで介入で改善しなかった9名の患者は手術する方向となった.

アウトカム

以下のアウトカムを開始時6カ月1年で測定した.

  • Constant score:プライマリーアウトカム
  • American Shoulder and elbow surgeons (ASES) score
  • SF-36
結果

Constant score:プライマリーアウトカム

手術と理学療法で比較すると手術の方が優位な改善を示した.

ベースラインから1年後のConstant scoreの改善は
手術では41.4点の改善理学療法では28.4点の改善となった.

American Shoulder and elbow surgeons (ASES) score

手術と理学療法で比較すると手術の方が優位な改善を示した.

ベースラインから1年後のASES scoreの改善は
手術では47.1点の改善理学療法では31.0点の改善となった.

SF-36

両群間で優位差はなし.

解説

今回は小断裂から中断裂の腱板断裂に対して手術と理学療法で
肩関節機能のスコアを1年後までフォローアップした論文を紹介しました.

結果としてプライマリーアウトカムであるConstant scoreの数値は
手術した方が優位に大きな改善を示しました.

両群間で比較すると手術した方がConstant scoreは平均13.0点ほどの差が
あることが分かりました.

Constant scoreとは肩関節機能の評価スケールで100点満点で示します.
構成は痛み、ADL、可動域、筋力の4つの尺度で構成されています.

よって、手術と理学療法の1年後の肩関節機能は
手術した方が肩関節機能の改善率は高いことが示されました.

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