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腱板断裂損傷(保存)の機能的予後とは【メタアナリシス】

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タイトル

Clinical results of conservative management in patients with
full-thickness rotator cuff tear: a meta-analysis

PMCID: PMC7714327

研究デザイン

システマティックレビュー・メタアナリシス

目的

腱板断裂保存症例に対するシステマティックレビューは報告されているが
これまでの報告では質の高い研究はなく、保存療法に対する十分な知見が
得られていなかった.
よって、本研究の目的は観察研究を含めたシステマティックレビューを実施
することで腱板断裂保存症例の臨床的アウトカムを報告することである.

方法

1992年1月から2017年7月までの間で実施された研究を系統的に抽出した.
最終的に組み入れ基準を満たしたのは28件あった.

ランダム化比較試験:6件
コホート研究:4件
ケースシリーズ:15件
症例報告:3件

28件の論文紹介(サンプルサイズ、年齢、アウトカム、フォローアップ)
結果

constant score

開始時 :54.3点
2か月後:67.8点
3か月後:73.1点
6か月後:78.0点
1年後 :77.2点

ベースラインと比較して2カ月~1年で優位な改善を示した.

痛み(VAS)

開始時 :59.8mm
1か月後:26.2mm
2か月後:35.1mm
3か月後:26.4mm
6か月後:30.4mm
1年後 :24.8mm

ベースラインと比較して1カ月~1年で優位な改善を示した.

可動域(自動屈曲、自動外転)

開始時 :屈曲 135° 外転 122°
2か月後:屈曲 159° 外転 153°
3か月後:屈曲 161° 外転 156°
6か月後:屈曲 160° 外転 159°
1年後 :屈曲 171° 外転 168°

ベースラインと比較して2か月、6か月、1年で優位な改善を示した.

SF-36

ベースラインと比較して活力(Vitality)のみ6カ月と1年で優位な改善を示した.

解説

今回は腱板断裂保存に対して介入後のアウトカムの経過を報告した
論文を紹介しました。

constant scoreに関しては
介入後2カ月で急激な改善を示してその後の改善はわずかとなる
ことが示されました.

痛みに関しては
短期、中期、長期ともに介入により優位な改善があることが
示されました.

QOLに関しては
精神的な値を示す活力のみ中期・長期的で優位な改善があることが
示されました.

腱板断裂に対しては保存療法でも
痛みや機能の改善があるため、まずは保存療法を第一選択に治療を
進めるべきだと論文の著者は結論づけています.

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