整形外科のアウトカム一覧のダウンロードはこちら

慢性腰痛に対する腹圧トレーニングの有効性

スポンサーリンク
スポンサーリンク
タイトル

Effect of exhalation exercise on trunk muscle activity and oswestry disability index of patients with chronic low back pain

PMCID: PMC4932047

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

本研究の目的は呼吸を意識した腹圧トレーニングと脊椎安定化トレーニングを
比較して体幹の筋活動や機能障害への影響を検討することである.

方法

取り込み基準
①3カ月以上持続する慢性腰痛
②安全にトレーニングができる


除外基準
①急性腰痛
②精神疾患
③運動へのコンプライアンス不良
④認知機能障害
⑤運動麻痺
⑥脊椎分離症
⑦脊椎すべり症

研究方法

20名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.

腹圧トレーニンググループ
(experimental group)

脊椎安定化トレーニンググループ
(control group)

患者の基礎情報は以下を参照

腹圧トレーニンググループ(experimental group)

腹圧トレーニングの内容は
両膝を立てた背臥位姿勢の状態で腰にバイオフィードバックシステムを
使用して圧力を40mmHgに維持させる.


腹横筋と内腹斜筋の筋活動が賦活することを意識して実施.

※介入は週に5回を6週間実施
※1回の介入時間は20分とした

脊椎安定化トレーニンググループ(control group)

脊椎安定化トレーニングの内容は
①ウォームアップ
②エクササイズ
③クールダウン
の3つで構成

①ウォームアップでは
5分間のストレッチた関節の柔軟体操を実施

②エクササイズでは
骨盤後傾運動、ドローイン、骨盤前傾運動、ブリッジ(両脚・片脚・ボール挟み)
を背臥位にて20分間実施

③クールダウンでは
5分間の有酸素運動

※介入は週に4回を6週間実施
※1回の介入時間は30分とした

アウトカム

以下のアウトカムを開始時6週(介入後)で測定した.

  • 機能:Oswestry disability questionnaire(ODI)
  • 表面筋電図:腹直筋、腹横筋、外腹斜筋、脊柱起立筋
結果

機能:Oswestry disability questionnaire(ODI)

機能障害は両群ともに優位な改善を示した.

両群間での比較では腹圧トレーニングで優位な改善を示した.

表面筋電図:腹直筋、腹横筋、外腹斜筋、脊柱起立筋

腹直筋、外腹斜筋、脊柱起立筋は両群ともに優位に改善.

腹横筋のみ腹圧トレーニングで優位な改善を示した.

RA:腹直筋 TA:腹横筋 EAO:外腹斜筋 ES:脊柱起立筋
ODI:機能障害スコア

解説

今回は慢性腰痛に対して
腹圧トレーニングの有効性を検証した論文を紹介しました.

結果として腹圧トレーニングは
ODIと腹横筋の筋活動の賦活に有効であることが示唆されました.

ただし、長期的にフォローアップしていないため、
短期的には有効ですが、長期的な効果は不明となっています.

慢性腰痛には体幹深層筋である腹横筋が重要であると様々な研究で
分かっているので、今回の論文を通して腹横筋を意識した呼吸トレーニング
を臨床に活かしてみても良いかと思います.

コメント