整形外科のアウトカム一覧のダウンロードはこちら

慢性腰痛の原因は腹横筋の弱さ?体幹深層筋トレーニングの有効性

スポンサーリンク
スポンサーリンク
タイトル

Segmental stabilization and muscular strengthening in chronic low back pain: a comparative study

PMCID: PMC2972594

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

腰痛になりやすい要因として体幹の表在筋・腹筋の弱さに加えて
腰部多裂筋や腹横筋などの体幹深層筋とモーターコントロール不足がある.
FerreiraらやHodgesらは慢性腰痛患者は腹横筋のコントロール不足により収縮速度が
遅延すると実証した.
そこで本研究の目的は体幹の表在筋・腹筋トレーニングと腹横筋トレーニング
の違いによる疼痛と機能障害の改善を検証することである.

方法

取り込み基準
①3カ月以上持続する腰痛
②安全にトレーニングができる


除外基準
①リウマチ
②腰部疾患の術後
③3カ月前のトレーニング歴がある患者
④認知機能障害

研究方法

30名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.

Segmental Stabilization (SS) group
(腹横筋トレーニング)

Superficial Strengthening (ST) group
(体幹表在筋トレーニング)

患者の基礎情報は以下を参照

腹横筋トレーニンググループ(SS グループ)

腹横筋と多裂筋に焦点を当てた介入を実施.

四つ這い、背臥位、腹臥位での腹横筋・多裂筋のエクササイズ
腹横筋・多裂筋の同時収縮トレーニング

※介入は週に2回を6週間実施
※1回の介入時間は30分とした

体幹表在筋トレーニンググループ(STグループ)

腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、脊柱起立筋に焦点を当てた介入を実施.

背臥位でに腹直筋トレーニング(体幹屈曲)
背臥位での腹直筋・内外腹斜筋トレーニング(体幹屈曲・回旋)
軽度膝屈曲位での背臥位で股関節屈曲トレーニング
腹臥位での脊柱起立筋トレーニング(体幹伸展)

※介入は週に2回を6週間実施
※1回の介入時間は30分とした

アウトカム

以下のアウトカムを開始時6週(介入後)で測定した.

  • 痛み:VAS、McGill Pain Questionnaire
  • 機能:Oswestry disability questionnaire(ODI)
  • 腹横筋の活動性:The pressure Biofeedback Unitを用いて評価
結果

腹横筋トレーニンググループの結果(SSグループ)

体幹表在筋トレーニンググループの結果(STグループ)

両群間での結果の比較

痛み:VAS、McGill Pain Questionnaire

腹臥位トレーニンググループ、体幹表在筋トレーニンググループともに優位に改善.

両群間で比較すると腹横筋トレーニンググループの方が優位に痛みが改善.

機能:Oswestry disability questionnaire(ODI)

腹臥位トレーニンググループ、体幹表在筋トレーニンググループともに優位に改善.

両群間で比較すると腹横筋トレーニンググループの方が優位に機能が改善.

腹横筋の活動性

腹横筋トレーニンググループのみ優位な改善を示した.

解説

今回は慢性腰痛に対して
体幹深層筋トレーニングが有効なのかを検証した論文を紹介しました.

結果として多裂筋・腹横筋のトレーニングをした方が
痛みや機能障害に優位な改善を示しました.

機能障害レベルとしてはODIスコアにて
SSグループは37%から4%まで改善.
STグループは38%から18%まで改善.

ただし、長期的にフォローアップしていないため、
短期的には有効ですが、長期的な効果は不明となっています.

コメント