目的
どのような腰痛患者に仙腸関節マニピュレーションが有効かを予測する
クリニカルプレディクションルールです.
ルール
- 腰痛発症16日未満
- 股関節内旋35°より大きい
- spring testで腰痛の低可動性(hypomobility)が1分節以上ある
- 膝より遠位に症状がない
- FABQ（Fear-Avoidance Beliefs Questionnaire)work スコアが19点未満
感度・特異度・陽性尤度比・成功確率
| 陽性数 | 感度 | 特異度 | 陽性尤度比 | 成功確率 |
| 1以上 | 1.00 (0.89-1.0) | 0.03 (0.005-0.13) | 1.03 (1.01-1.15) | 46% |
| 2以上 | 1.00 (0.89-1.0) | 0.15 (0.07-0.30) | 1.18 (1.09-1.42) | 49% |
| 3以上 | 0.94 (0.80-0.98) | 0.64 (0.48-0.77) | 2.61 (1.78-4.15) | 68% |
| 4以上 | 0.63 (0.45-0.77) | 0.97 (0.87-1.0) | 24.38 (4.63-139.41) | 95% |
| 5以上 | 0.19 (0.09-0.35) | 1.00 (0.91-1.00) | ∞ (2.02-∞) | － |
Flynn et al. 2002より筆者作成
仙腸関節マニュプレーション
マニュプレーションが成功したかは患者・治療者の一方がポキット破裂音(cavitation)が
感じられた場合に成功とします.
筆者の解釈
Flynn et al. 2002の論文によるとCPRで4つ以上当てはまれば、仙腸関節マニュプレーションをすることでOswestry Disability Questionnaire (OSW)という患者立脚型のアウトカムが50%以上良くなります.
注意点としては
- 研究デザインはderivation study(モデル作成段階)なので内的妥当性が不十分
- ODIスコアの聴取は介入して2日後～4日後のため短期的なアウトカムしか反映していない
- マニュプレーションなので治療スキルが必要
- 取り込み基準(Inclusion criteria)はODI(Oswestry Disability Index)が30%以上のため
中等度以上の能力障害が対象(軽度の能力障害には効果が不明)
Childs et al.2004の論文はValidation study(モデル検証段階)で報告されています.
患者：急性腰痛患者
介入：spinal manipulation＋exercise program群
比較：exercise program only 群
アウトカム：Oswestry Disability Questionnaire (ODQ) スコア
研究デザイン：多施設無作為臨床試験(Multi-Center Randomized Clinical Trial)
フォローアップ期間：1週、4週、6カ月
| 陽性数 | 陽性尤度比 | 成功確率 | Number Needed to Treat |
| 4以上 | 13.2(CI=3.4-52.1) | 92% | 1.3(CI=1.1-1.9) |
Flynn et al. 2002より筆者作成
CPRで4つ以上当てはまれば仙腸関節マニュプレーション＋エクササイズを5セッション行うことでODQスコアが50%以上良くなります.介入は最初の週だけ2回、次から週1回 3週間の合計5回の理学療法を実施しています.
引用文献
- Flynn et al. A Clinical Prediction Rule for Classifying Patients with Low Back Pain Who Demonstrate Short-Term Improvement With Spinal Manipulation.2002
- Childs et al. A Clinical Prediction Rule To Identify Patients with Low Back Pain Most Likely To Benefit from Spinal Manipulation: A Validation Study.2004
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