Effectiveness of exercise therapy added to general practitioner care in patients with hip osteoarthritis: a pragmatic randomized controlled trial
ランダム化比較試験
今回の研究の目的は変形性股関節症に対して
開業医での一般的なケアとエクササイズの併用の有効性を検証することである.
取り込み基準
①45歳以上
②米国リウマチ学会の股関節OAの診断基準を満たす
除外基準
①過去3カ月の理学療法歴
②NRS 1以下
③高い身体機能(Algofunctional Index2以下)
④THA適応
⑤重度の合併症(心不全など)
203名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.
かかりつけ医のケア+エクササイズ(general practitioner (GP) care+exercise therapy)
GP+ET group
かかりつけ医のケアのみ(general practitioner (GP) care)
GP group
患者の基礎情報は以下を参照

オランダのガイドラインに準じてプログラムを実施.
・生活習慣の修正
・可能な範囲での歩行補助具
・関節への負担を考慮した姿勢
・適切な痛みへの行動
・筋力トレーニング
・ストレッチ(股関節周囲)
・有酸素運動
・ホームエクササイズ用のパンフレット
※1回のセッションは30分で実施
※3カ月間で最大12セッションを実施
股関節OAに対するパンフレットによる指導を実施.
・教育
・カウンセリング
・鎮痛薬の処方
・追加診断
・整形外科医へ紹介
以下のアウトカムを開始時、6週、3カ月(介入後)、6カ月、9カ月、1年で測定した.
- Hip disability Osteoarthritis Outcome Score (HOOS):プライマリーアウトカム
- NRS score
- 7-point Likert scale
- QOL:EQ-5D3L
Hip disability Osteoarthritis Outcome Score (HOOS)
痛み・機能ともに3カ月時点では
かかりつけ医のケア+エクササイズグループで優位に改善.
12カ月のフォローアップでは優位差なし.

NRS score
両群間で優位差はなし.

7-point Likert scale
3カ月時点のみかかりつけ医のケア+エクササイズグループで優位に改善.

QOL:EQ-5D3L
両群間で優位差はなし.

今回は変形性股関節症に対して
エクササイズと一般的な開業医からのケアを組み合わせることでの
有効性を検証した論文です.
結果としては
3カ月時点では優位な差を示しましたが
1年後のフォローアップでは両群間で優位差は認められませんでした.
よって、短期的には痛みや機能の改善に有効ですが
長期的には差はないことが示されました.
論文の著者は長期的な優位差がない要因として
参加者のコンプライアンスが悪い点を挙げています。
エクササイズ併用のグループのエクササイズの達成度は
3カ月では78%、1年では60%と3カ月の介入後はセルフエクササイズを
中断してしまう参加者がいたため、効果が長期的に継続されなかった
のではないかと考察しています.

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