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ハムストリングス損傷 アジリティ+体幹トレーニングの有効性

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タイトル

A comparison of 2 rehabilitation programs in the treatment of acute hamstring strains

DOI: 10.2519/jospt.2004.34.3.116

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

今回の研究の目的は急性のハムストリングス損傷患者に対して
2つの異なるリハビリテーションプログラムでスポーツ復帰までの期間と
再損傷率を調査することである.

方法

取り込み基準
①10日以内の急性のハムストリングス損傷
②圧痛あり
③他動SLR test で痛みあり
④ハムストリングスの収縮時痛あり
⑤14歳~50歳


除外基準
①慢性のハムストリングス損傷
②骨折
③神経根障害
④完全断裂損傷
⑤ホームエクササイズのコンプライアンス不良(70%以下)

研究方法

28名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.

hamstring stretching and strengthening (STST) group
(ハムストリングスのストレッチと筋力強化グループ)

progressive agility and trunk stabilization (PATS) group
(漸増的アジリティと体幹スタビライゼーショングループ)

スポーツ活動の内容は以下を参照

患者の基礎情報は以下を参照

stretching and strengthening (STST) group

プログラムはフェーズ1とフェーズ2に分かれ
歩行が正常化かつ膝伸展が痛みなく可能であればフェーズ2へ移行した.

フェーズ1
・静的ストレッチ
・ハムストリングスの等尺性筋力運動
・アイシング(20分)

フェーズ2
・動的ストレッチ
・ハムストリングスの遠心性・求心性筋力運動

プログラムの詳細は以下を参照

※ホームエクササイズとして毎日行うよう指導

progressive agility and trunk stabilization (PATS) group

プログラムはフェーズ1とフェーズ2に分かれ
歩行が正常化かつ膝伸展が痛みなく可能であればフェーズ2へ移行した.

・アジリティ(俊敏性)トレーニング
・体幹スタビライゼーション
・アイシング(20分)

※ホームエクササイズとして毎日行うよう指導

スポーツ復帰の基準

・ハムストリングスの筋力がMMT 5
・圧痛がない
・俊敏性テストで主観的に問題なし

アウトカム

以下のアウトカムを測定した.

  • スポーツ復帰までの日数
  • 再発率(2週・1年でフォローアップ)
結果

スポーツ復帰までの日数

両群間で優位差はなし.

stretching and strengthening (STST) group37日
progressive agility and trunk stabilization (PATS) group22日

再発率

progressive agility and trunk stabilization (PATS) group
の方が優位に再損傷の割合は低かった.

stretching and strengthening (STST) group
再発率 2週間以内 6/11人(54.5%) 1年以内 7/11人(70%)

progressive agility and trunk stabilization (PATS) group
再発率 2週以内 0/13人(0%) 1年以内 1/13人(7.7%)

解説

今回は急性のハムストリングス損傷患者に対して
一般的なストレッチや筋力トレーニングと比較してアジリティや体幹のトレーニング
がスポーツ復帰や再損傷の予防になるかを検証した研究です.

結果としては
アジリティと体幹のトレーニングをしたグループの方が
再損傷率が優位に低い結果となりました.

論文の著者の見解としては
神経筋コントロールエクササイズと体幹のスタビライゼーションが
再損傷予防には有効であると述べています.

一般的にハムストリングス損傷の再発は2週以内が多いと
言われているため、再発予防を意識したリハビリテーションプログラム
の立案が重要であると思います.

今回の論文を通してアジリティトレーニングと体幹スタビライゼーション
組み合わせが再損傷を減らすことに有効性であることが示されました.

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