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ハムストリングス損傷 遠心性トレーニング(Lプロトコル)の有効性

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タイトル

Acute hamstring injuries in Swedish elite football: a prospective randomised controlled clinical trial comparing two rehabilitation protocols

DOI: 10.1136/bjsports-2013-092165

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

今回の研究の主な目的はスウェーデンのエリートサッカー選手を対象とした
急性のハムストリングス損傷に対して、筋腱の長さに焦点を置いた異なる
リハビリテーションプロトコルを使用してスポーツ復帰に必要な日数を
検証することである.

方法

取り込み基準
①急性のハムストリングス損傷
②圧痛あり
③他動SLR test で痛みあり
④ハムストリングスの収縮時痛あり


除外基準
①過去6カ月以内での同側のハムストリングス損傷
②外傷性の痛み
③慢性の背部痛
④妊婦

研究方法

75名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.

筋肉を伸長することを意識した遠心性トレーニング:L-protocol
伸張性は意識せずに従来のトレーニング:C-protocol

患者情報は以下を参照

L-protocol

エクササイズ①
柔軟性拡大を目的にしたエクササイズ

エクササイズ②
筋力と骨盤・体幹の安定を意識したエクササイズ

エクササイズ③
筋力強化トレーニング

※トレーニングは監督下で最低でも週に1回実施
※トレーニング中は痛みを出さないよう実施

C-protocol

エクササイズ①
柔軟性拡大を目的にしたエクササイズ

エクササイズ②
筋力と骨盤・体幹の安定を意識したエクササイズ

エクササイズ③
筋力強化トレーニング

※トレーニングは監督下で最低でも週に1回実施
※トレーニング中は痛みを出さないよう実施

アウトカム

以下のアウトカムを測定した.

  • スポーツ復帰までの日数:プライマリーアウトカム
  • 12カ月以内の再発率
結果

スポーツ復帰までの日数

L-protocolで優位にスポーツ復帰までの期間が短かった.

L-protocol平均28日
C-protocol平均51日

損傷タイプで分類すると
スプリントタイプとストレッチタイプで調査すると
スプリントタイプ損傷の方が復帰までの期間が短いことが示された.

12カ月以内の再発率

12カ月のフォローアップ期間中に
C-protocolグループから1名の再損傷があった.
再損傷は復帰後6カ月後であった.

解説

今回は論文の著者であるAsklingらが提唱する
筋肉を伸長するトレーニングの導入(L-protocol)をした方が
スポーツ復帰までの期間が短縮されることが示されました.

また再発率は今回の対象では1人でしたが、
ヨーロッパのサッカー選手を対象とした研究では12~25%と
再発率も低いことが示されています.
これに関して筆者が提唱するH testの導入による効果であると述べています.
H testとは背臥位で可能な限り自動でSLRを素早く3回やってもらい
疼痛や不安感が出現した場合に陽性となるテストです。

今回の論文の対象はこのH testで陽性の場合は
スポーツ復帰を約1週間延長して、H test 陰性になるまでは
スポーツを遅らせました.
このH test導入により再発リスクが低いのではと筆者は述べています.

L-protocolの紹介動画

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