Diagnostic accuracy of clinical tests for assessment of hamstring injury:
a systematic review
システマティックレビュー
ハムストリングス損傷の診断は触診、等尺性テスト、MRIなど様々な方法がある.
また、整形外科テストも診断に有効な方法であると提唱されている.
そこで本研究の目的はハムストリングス損傷に対する整形外科テストの
診断の正確性を検証することである.
2人の著者が独立して論文を系統的に抽出した.
最終的に3つの研究が取り込み基準を満たした.

Quality Assessment of Diagnostic Accuracy Studies (QUADAS) tool
に基づいて論文の質を評価した.
1から14点のスコアでスコアが高いほどバイアスリスクが低い研究となる.
過去の研究によれば10点以上であれば論文の質が高く、バイアスが低いと言える.
採用された3つの論文の質は以下の通りである.

最終的に3つの論文が抽出された.
各論文のサンプルサイズは46人、140人、58人であった.

Schneider-KolskyらとCacchioらは最終的な診断をMRIとして
ZerenとOztekinの研究は最終的な診断を超音波とした.
Cacchioらは3つのテストを調査した.
・Puranen Orava Test
・Bent-knee stretch Test
・Modified bent-knee stretch Test
ZerenとOztekinは4つのテストを調査した.
・Taking-off-the-shoe Test
・Active range-of-motion Test
・Passive range-of-motion Test
・Resisted range-of-motion Test
Schneider-Kolskyらは3つの複合的な評価を実施.
・Passive straight leg raise
・Active knee extension
・MMT
各研究者による整形外科テストの評価精度は以下を参照.


患側の靴を健側の足を使って脱がす動作をさせてハムストリングスに痛みが
出た場合に陽性となります.
今回はハムストリングス損傷に対してどのような整形外科テストが有効
であるのかを検証したシステマティックレビューとなります.
基本的にはMRI画像や超音波を使って診断をするのが確実ですが、
精度が高い整形外科テストであれば簡易的に疾患をルールインする
ことが可能となります.
今回は3つの研究論文がそれぞれ整形外科テストの信頼性を評価しています.
QUADASスコアが一番高かったSchneider-Kolskyらの論文は
感度は95%と高かったですが、陽性尤度比(LR+)は0.97と低く
診断するのには不十分という結果となっています.
次にQUADASスコアが高かったCacchioらの研究は
Modified bent-knee stretch Testは陽性尤度比が9.9と高い結果
となりましたが、対象がハムストリングス損傷後15日±7カ月と
亜急性~慢性患者を対象としているため急性の損傷での信頼性は
不明確な結果となっています.
最後にQUADASスコアが最も低かった、ZerenとOztekinらの研究では
Taking-off-the-shoe Testが感度100%、特異度100%と優れた結果
となっています.
それぞれ論文によって優れている点と考慮すべき点があるため
解釈は論文を読んだ方によって分かれると思いますが
個人的にはZerenとOztekinの4つのテストやTaking-off-the-shoe Test
は臨床でも活用できるのではと思います.

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