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肩峰下インピンジメントに対するキネシオテーピングの有効性【キネシオテープ+エクササイズ vs エクササイズ単独】

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タイトル

Does Kinesio taping in addition to exercise therapy improve the outcomes in subacromial impingement syndrome? A randomized, double-blind, controlled clinical triall

DOI: 10.3944/aott.2013.2782

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

本研究の目的は肩峰下インピンジメントに対してキネシオテーピングの有効性を
検証することである.
過去の研究ではキネシオテーピングの有効性を示唆する
研究はあるが、キネシオテーピングとエクササイズの併用とエクササイズ単独を
比較した研究は存在しない.
よって、今回はキネシオテーピングとエクササイズの併用が
痛みや機能障害の改善に有効かを検証することとした.

方法

取り込み基準
①18~70歳
②1カ月以上の肩の痛み
③Neer test 陽性
④Kennedy-Hawkins test 陽性


除外基準
①石灰腱板炎
②肩関節OA
③肩・腰・胸の手術歴
④肩の骨折・脱臼
⑤頸椎病変
⑥過去3カ月以内の治療歴

研究方法

38名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.

キネシオテープ+エクササイズ(KT group)
プラセボキネシオテープ+エクササイズ(sham KT group)

キネシオテープグループ(KT group)

キネシオテーピングは三角筋と棘上筋の走行に沿って貼りつけた.

プラセボキネシオテープグループ(sham KT group)

プラセボでのキネシオテーピングは上記のように貼りつけた.

エクササイズの内容

キネシオテープグループ、プラセボキネシオテープグループともに
同様のエクササイズも併用して実施.

・ローテーターカフトレーニング(セラバンドを使用)
・動的肩甲帯スタビライゼーション

期間は1週間に5回を2週間継続した.

アウトカム

以下のアウトカムを治療直後と5日、12日に測定した.

  • 疼痛:安静、夜間、運動時
  • Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand (DASH) 質問票
  • Constant score
  • 可動域(自動・他動):屈曲、外転、外旋、内旋
  • 筋力:屈曲、伸展、外転、外旋、内旋
結果

疼痛:安静、夜間、運動時

安静時痛
両群間で優位差なし.

運動時痛
5日、12日のアウトカムはキネシオテーピンググループで優位に改善

夜間時痛
12日時点のアウトカムのみキネシオテーピンググループで優位に改善.

Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand (DASH) 質問票

5日、12日のアウトカムはキネシオテーピンググループで優位に改善

Constant score

両群間で優位差はなし.

可動域(自動・他動):屈曲、外転、外旋、内旋

自動屈曲は5日、12日時点ともにキネシオテーピンググループで優位に改善.
他動屈曲は5日のみキネシオテーピンググループで優位に改善.
その他の項目は両群間で優位差なし.

筋力:屈曲、伸展、外転、外旋、内旋

屈曲筋力は5日、12日ともにキネシオテーピンググループで優位に改善.
外旋筋力は12日のみキネシオテーピンググループで優位に改善.
その他の筋力は両群間で優位差なし.

解説

今回は肩峰下インピンジメントに対しキネシオテーピングとエクササイズの
併用が痛みや機能障害の改善に有効なのかを検証した論文です.

結果としてはキネシオテーピングとエクササイズの併用の方が
痛み、機能障害、可動域、筋力の改善に有効であることが示唆されました.

キネシオテーピングは運動時や夜間時の痛みがある症例には
有効であることが分かります.

論文の著者はキネシオテーピングは関節の安定性と運動のバイオメカニクスを
変える効果があるとと述べています.また、キネシオテーピングにより皮膚の受容体
が刺激されて固有受容器が増加するため述べています.

フォローアップ期間が短いため短期的な効果しか分かりませんが
短期的にはキネシオテーピングとエクササイズの併用が有効である
ことが示唆されました.

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