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変形性膝関節症に対する理学療法・リハビリ【高強度 VS 低強度トレーニング】

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タイトル

Investigation of clinical effects of high- and low-resistance training for patients with knee osteoarthritis: a randomized controlled trial

DOI: 10.2522/ptj.20060300

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

変形性膝関節症は痛み、関節のこわばり、固有受容器の低下、筋力低下を示す.
大腿四頭筋の筋力低下は膝の痛みや機能障害と相関することが実証されている.
様々な研究者が変形性膝関節症に対して筋力トレーニングが可動域、痛み、および
機能障害の改善に繋がると報告している.
しかし、適切な負荷に関しては議論されている現状がある.
そこで、本研究の目的は高強度トレーニング、低強度トレーニング、トレーニングなし
のグループに分けて、膝の痛み、機能、歩行速度、膝関節トルクを調査することである.

方法

取り込み基準
①両側性の膝の痛み
②朝のこわばり(30分未満)
③捻髪音がある
④50歳以上
⑤KL分類 グレード3以下
⑥6カ月以上の慢性の膝の痛み


除外基準
①理学療法を受けている(3カ月以内)
②随伴症状あり(膝蓋腱、靱帯の痛み)
③末梢・中枢神経症状
④その他、不安定な症状

研究デザイン

102名の患者がランダムに

高強度トレーニンググループ(high-resistance:HR group
低強度トレーニンググループ(low-resistance :LR group
トレーニングなしグループcontrol group

3つのグループ割り当てられた.

患者のベースラインはこちら

高強度トレーニンググループ

強度:1RMの60%の負荷
回数:8回
セット数:3セット
期間:1週間に3回を8週間
※1RMはレッグプレスで算出
※2週ごとに1RMは5%増加

低強度トレーニンググループ

強度:1RMの10%の負荷
回数:15回
セット数:10セット
期間:1週間に3回を8週間
※1RMはレッグプレスで算出
※2週ごとに1RMは5%増加

エクササイズ内容

ウォームアップ:自転車エルゴメーター(10分)
トレーニング:片脚レッグプレスを左右
クールダウン:コールドパック(10分)

アウトカム

以下のアウトカムを介入前と研究終了時に測定した.

  • 痛み:WOMAC pain Subscale
  • 機能:WOMAC Physical Function Subscale
  • 歩行速度(60m歩行、8の字歩行、13段の段差昇降、12mのスポンジ状の床を歩行)
  • 膝伸展と膝屈曲トルク(60°、120°、180°)
結果

痛み:WOMAC pain Subscale

コントロール群と比較して高強度・低強度トレーニンググループで優位に改善.
高強度トレーニングと低強度トレーニングの比較は有意差なし.

機能:WOMAC Physical Function Subscale

コントロール群と比較して高強度・低強度トレーニンググループで優位に改善.
高強度トレーニングと低強度トレーニングの比較は有意差なし.

歩行速度

8の字歩行とスポンジ状の床を歩行するテストのみ
コントロール群と比較して高強度・低強度トレーニンググループで優位に改善.
高強度トレーニングと低強度トレーニングの比較は有意差なし.

膝伸展と膝屈曲トルク

高強度トレーニンググループと低強度トレーニングループのみ優位に改善.
しかし、両群間では有意差なし.

解説

今回は変形性膝関節症に対して高強度トレーニングと低強度トレーニングで
痛みや機能障害を比較した研究です.

結果としては両群間で優位差はなく、高強度・低強度どちらも痛みや機能障害
の改善に有効であることが示されました
.

しかし、効果量(エフェクトサイズ)は高強度トレーニングの方が低強度トレーニング
より、わずかに優れる結果となっています.

今後、筋力トレーニングの運動強度を決める際は参考にして貰えたらと思います.

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