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ばね指(弾発指)についてのリハビリテーション

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今回はばね指(弾発指)について概論や治療内容を論文を踏まえて紹介します。

概論

手指の屈曲には屈筋腱と伸筋腱が関わっており、屈筋腱の走行に沿って
腱鞘というトンネルがあります。

指の使い過ぎに等により腱鞘の肥厚や硬化または屈筋腱自体の肥厚が原因となって、
腱の滑動障害が生じてます。

長尾聡哉 整形外科看護 2015より図のみ引用

症状

腫脹・熱感・疼痛
引っかかり(catching)
ロッキング(Locking)

主には上記のような症状があります。
起床時に症状が強い傾向があります。

重症度分類

Green Classification

Grade Ⅰ:Al pulieyの圧痛のみ,ばね現象なし
Grade Ⅱ:引っかかり現状あり(自動で解除可能)
Grade Ⅲ:ロッキング現象あり(自動で解除不可、他動で解除)
Grade Ⅳ:屈曲拘縮あり

理学療法プログラム

屈筋腱ストレッチ

手関節背屈位でMP関節とIP関節を他動的に伸展方向にストレッチします。

Al pulleyストレッチ

MP関節を90°屈曲位、IP関節伸展位の状態で
抵抗をかけた状態でMP関節屈曲方向に自動で収縮させます。

MP関節とPIP関節屈曲位、DIP関節伸展位の状態で
ブロックなどを挟んで屈筋腱へ収縮を促します。

スプリント

指の使い過ぎにより症状がでやすいため
スプリントにより動きを制限して症状を和らげます。

Colbourn Jら2008による研究によれば
MP関節軽度屈曲(15°)でのスプリントを6週~10週したことで
92.9%の患者は症状が緩和したと報告しています。

Rodgers JAら1996による研究によれば
DIP関節伸展位でのスプリントを6週間したことで
50%の患者は症状が緩和したと報告しています。

Colbourn Jら2008より引用

スプリントが用意できない場合は
バンドエイドで代用できるので活用してみて下さい

超音波治療

Salim Nら2012による研究によれば
ストレッチ、マッサージ、温熱療法に加えて超音波を併用すると
痛みや引っかかりの改善に有効であると報告しています。

まとめ

ばね指は手術療法と保存療法に分かれますが
まずは保存療法で様子をみる症例が多いと思います。

保存療法にはステロイド注射、理学療法、スプリントが一般的に
効果的であるという報告があります。

今回はばね指に対する理学療法プログラムを紹介しました。
エビデンスが確立している分野ではないですが、複数の論文で
理学療法の有効性や再発予防の有効性を示している論文もあるため
治療に役立ててもらえればと思います。

引用文献
  • 長尾聡哉. ばね指 (手指屈筋腱狭窄性腱鞘炎).整形外科看護.2015
  • Makkouk AH el al. Trigger finger: etiology, evaluation, and treatment. Current reviews in musculoskeletal medicine. 2008 PMCID: PMC2684207
  • Colbourn J el al. Effectiveness of splinting for the treatment of trigger finger. Journal of hand therapy. 2008 DOI: 10.1197/j.jht.2008.05.001
  • Salim N el al. Outcome of corticosteroid injection versus physiotherapy in the treatment of mild trigger fingers. The Journal of hand surgery, European volume. 2012 DOI: 10.1177/1753193411415343

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