肩関節周囲炎に対するモビライゼーションの有効性スポンサーリンク 2020.11.01スポンサーリンクタイトルDoes adding mobilization to stretching improve outcomes for people with frozen shoulder? A randomized controlled clinical trialDOI: 10.1177/0269215515597294研究デザインランダム化比較試験目的肩関節周囲炎に対して関節モビライゼーションの有効性はいくつかの論文で報告されてる.関節モビライゼーションとホームエクササイズの併用や関節モビライゼーションと可動域訓練の併用の効果の報告は多数あるが、関節モビライゼーションとストレッチとストレッチ単独の研究はない.よって今回の研究の目的は関節モビライゼーションとストレッチの併用により可動域、痛み、機能障害の改善に有効なのかを検証することである.方法取り込み基準①可動域(屈曲、外転、外旋)が健側より50%以上差がある②レントゲンは異常なし③症状が3カ月以上継続している除外基準①頚椎症性神経根など放散痛がある②糖尿病③胸郭出口症候群④リウマチ⑤骨折または腫瘍がある⑥神経学的な筋力低下がある⑦4週間以内にステロイド注射の経験がある⑧腱板断裂研究デザイン30名の患者はランダムに以下の2つ群に割り当てられた.グループ①関節モビライゼーション(30分)+ストレッチ(20分)+ホームエクササイズグループ②ストレッチ(20分)+ホームエクササイズ1週間に3回の理学療法を6週間行った.関節モビライゼーションの内容肩甲上腕関節の離開(distraction)、尾側滑り( caudal glide)、後方滑り(posterior glide)、前方滑り( anterior glide)をGrade IまたはIIで関節が弛緩したポジションで実施した.徐々に制限された方向でGrade IIIとIVで耐えられる痛みの範囲で実施した.ストレッチの内容20秒のストレッチ、10秒の休憩を以下の方向で10回行った.屈曲肩甲骨を固定した状態で屈曲方向のストレッチ外転(肩甲骨面)肩甲骨を固定した状態で外転方向のストレッチ外旋(肩甲骨面)肘を屈曲させた位置で外旋方向のストレッチ内旋(肩甲骨面)肘を屈曲させた位置で内旋方向のストレッチホームエクササイズ1日2回 のストレッチと筋力運動を指導.屈曲方向のストレッチ外転方向のストレッチ内旋方向のストレッチ(sleeper stretch)後方関節包ストレッチ肩甲骨内転筋トレーニング(ゴムチューブ使用)外旋筋トレーニング(ゴムチューブ使用)伸展筋トレーニング(ゴムチューブ使用)壁・テーブルでのプッシュアップアウトカム以下のアウトカムをベースラインと6週(介入後)、1年でフォローアップした.Primary outcomesDisabilities of the Arm, Shoulder and Hand ScoreConstant scale:痛み、可動域、筋力を100点満点で評価Secondary outcomes可動域(屈曲、外転、外旋、内旋)VAS結果関節モビライゼーションとストレッチを併用したグループでConstant scale、外転可動域、外旋可動域に優位な改善を示した.この結果は1年後のフォローアップでも継続した.考察今回の研究で関節モビライゼーションとストレッチの併用はストレッチ単独よりConstant scale、外転、外旋の可動域に有効であることが示唆された.Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand Scoreは有意差がなく、Constant scaleに優位な結果が示された推測としては、Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand Scoreは主に日常生活の評価であり、可動域の評価が含まれていない点が考えられる.解説今回の論文では肩関節周囲炎に対して関節モビライゼーションとストレッチの併用によりConstant scaleと可動域(外転、外旋)の改善に有効であることが示唆された.
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