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頚椎症性神経根症に対して牽引と理学療法の併用は有効か

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タイトル

Cervical Radiculopathy: Effectiveness of Adding Traction to Physical Therapy—A Systematic Review
and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials


DOI: 10.1093/physth/pzy001

研究デザイン

システマティックレビュー・メタアナリシス

目的

今回の研究の目的は頚椎症性神経根症に対して機械または徒手を使った牽引と理学療法を併用することで理学療法のみのグループより痛みや機能障害に有効なのかを複数のランダム化比較試験をシステマティックレビューとして評価することである.

方法

2人の著者が別々に複数の文献検索サイトを使用し論文を抽出した.

取り込み基準
①18歳以上
以下の②~④で1つでも当てはまる
②MRI、筋電図検査などを通して頚椎症性神経根症の診断がある
clinical prediction rulesで4つ中3つ該当する
④臨床所見がある(放散痛による運動や感覚の異常所見)


除外基準
①リウマチ
②頚椎症性神経根症
③腫瘍
④多発性硬化症などの神経障害

介入方法

グループ1:牽引+理学療法

グループ2:理学療法のみ

アウトカム

以下のアウトカムを短期(3カ月)、中期(3~6カ月)、長期(6~12カ月)でフォローアップ.

  • NRS
  • Neck Disability Index (NDI)
理学療法

理学療法の内容は各論文により違いはありますが以下の通りです.
介入頻度は合計3~4週で回数は7~15セッションと研究によりばらつきあり.

  • 超音波
  • ホットパック
  • 頸椎モビライゼーション
  • ストレッチ
  • 筋力強化訓練(頸部・肩甲帯)
  • 胸椎マニュプレーション
結果

最終的に5つの論文が抽出基準を満たした.

痛みと機能障害を短期、中期、長期でフォローアップ.

機械を使用した牽引の場合

 3カ月3~6カ月6~12カ月
痛み優位差あり優位差あり優位差なし
機能障害優位差なし有意差あり優位差なし

徒手を使用した牽引の場合

 3カ月
痛み優位差あり

 

解説

理学療法に加えて頸椎牽引を併用することで痛みと機能障害が短期的、中期的に優位な差があることが示唆されたシステマティックレビューです.

頚椎症性神経根症は複数の治療を併用することで効果的であるという論文もあるため、理学療法だけでなく頸椎牽引も取り入れることで痛み改善に有効であると思います.


詳細に関してはリンクを貼っているので論文を参照してください.

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