Manual Physical Therapy Versus Surgery for Carpal Tunnel Syndrome: A Randomized Parallel-Group Trial
手根管症候群における治療は保存療法と手術療法に分かれるが、それぞれのエビデンスは十分ではなく議論されている.現在では保存療法は短期的には有効であるが、長期的なエビデンスは議論が分れている.今回は徒手療法と手術を比較してランダム化比較試験で1年間のフォローアップを設けてその効果を検証することとした.
取り込み基準
①痛みと異常感覚が正中神経領域にある
②夜間に症状が強くなる
③チネル徴候 陽性
④ファレンテスト 陽性
⑤症状が12カ月以上持続
⑥神経伝導速度で正中神経の異常所見がある
除外基準
①尺骨・橈骨神経領域の異常所見
②65歳以上
③過去に手術またはステロイド注射の経験がある
④他の病変もある(頚椎症性神経根症など)
⑤全身性疾患がある(DM、甲状腺異常など)
⑥筋骨格系の合併症がある(リウマチ、線維筋痛症など)
⑦うつ病
⑧男性
患者はランダムに理学療法と手術に割り当てられた.
以下のアウトカムをベースラインと1カ月、3カ月、6カ月、12カ月でフォローアップした.
- NRS (平均、最大)
- Boston Carpal Tunnel Questionnaire (BCTQ):
患者記入式アウトカム(重症度と機能の2つを評価) - Global Rating of Change (GROC):
患者の主観的改善度のアウトカム
理学療法に割り当てられたグループは週1回の理学療法を3週間実施した.
・軟部組織モビライゼーション
斜角筋、小胸筋、二頭筋筋膜、回内筋、手根管靱帯、手掌腱膜
・神経・腱滑走エクササイズ
背臥位での正中神経の滑走性エクササイズ
手術に割り当てられたグループは内視鏡での手根管開放手術を実施.
術後はハンドセラピストによる神経・腱滑走エクササイズを同様に指導.
痛みのアウトカムは1カ月と3カ月で理学療法グループでの方が優位に痛みが改善.
6カ月、12カ月では両群で優位差はなし.
BCTQの機能スコアに関しても同様に1カ月、3カ月で理学療法で優位に改善.
6カ月、12カ月では有意差はなし.
Global Rating of Changeスコアは両群間で優位差はなし.
徒手療法と手術どちらが有効か検証したランダム化比較試験試験です.
短期的には徒手療法が優れており、長期的には両群間で優位差がない
という結果になりました.
詳細に関してはリンクを貼っているので論文を参照してください.

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