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上腕骨外側上顆炎にキネシオテーピングは有効か

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タイトル

Kinesio taping reduces elbow pain during resisted wrist extension in patients with chronic lateral epicondylitis: a randomized, double-blinded, cross-over study.

PubMed PMCID:  PMC6010177

はじめに

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)は肘外側部の痛みの原因の一つであり、ラケットを使う選手では9~35%、テニス選手では14~41%の有病率を呈している.一般的には手関節背屈に伴い、肘外側に痛みを呈する.治療は保存療法が一般的であり経口薬、ステロイド注射、理学療法があるがエビデンスは十分ではない.キネシオテープは筋骨格性障害に幅広く使用されており、効果は様々報告されている.痛みの軽減や筋の正常化、関節アライメントの修正、固有受容器のフィードバックなどが報告されている.外側上顆炎に対するキネシオテープは有効性が調査されてなく、Dilekらは患者の痛みと握力が改善したと報告したが、比較対象がなくプラセボ効果が影響している可能性もある.
したがって、今回はプラセボをコントロール群にしてキネシオテープの有効性を調査した.また、私たちはスポーツ分野に応用できるようダイナミックな運動を通して即時的な効果も検証した.

方法

外側上顆炎と診断された外来患者を対象に調査した.
取り込み基準と除外基準は以下に記載.

取り込み基準
①手関節背屈に抵抗を加えて外側上顆に痛みが出る
②外側上顆に圧痛がある
③症状が2カ月持続

除外基準
①過去にキネシオテープを使用した経験がある
②過去3カ月以内にステロイド注射歴がある

研究デザイン

登録基準を満たした患者はキネシオテープ群とプラセボキネシオテープ群(弾性粘着テープ)の2群にランダムに割り当てられた.クロスオーバー試験を用いて効果を検証し、ウォッシュアウト期間は3日とした.

テーピング方法

キネシオテープ群では肘関節伸展・手関節掌屈のポジションでY字の形に切ったテープを前腕伸筋群に沿って貼り、2つめのテープを肘関節前内側から上腕骨外側上顆に沿って貼った.
プラセボ群に関しては手関節中間位の状態で同様にテープを張り付けた.

Cho YTら2018より引用

a:キネシオテーピング b:プラセボ

アウトカム

primary outcome
立位で1kgの重錘を把持して前腕回内、手関節背屈位で肘関節を0~120°をゆっくり動かし
疼痛の程度をNRS 0~10で示す

Cho YTら2018より引用


Secondary outcome
安静時のNRS、握力、圧痛閾値(Wagner Instruments FDX Digital Force Gaugeを使用)

結果

両群ともにプライマリーアウトカムと握力は優位に改善した.
安静時のNRSはプラセボ群で優位に改善、圧痛閾値はキネシオテープ群で優位に改善した.
両群間で比較するとプライマリーアウトカムはキネシオテープ群で優位に優れる結果となった.

考察

上腕骨外側上顆炎に対してキネシオテープの有効性を複数の痛みのスコアを使用し検証した.
結果として両群ともにプライマリーアウトカムと握力が優位に改善した.しかし、キネシオテープ群の方が改善度は優れており、NRSで平均2.1の改善がみられ、MCIDを満たすことができた.
この結果はテーピングは即時的に痛みを改善すると支持することが可能である.
上腕骨外側上顆炎は症状が数カ月続くことがあるが、治療法は保存療法が主体であるため、患者は症状に絶えないといけないが、テーピングは生活の質やスポーツの質を改善する可能性がある.
また、興味深いことにプラセボ群においても、痛みに優位な改善を示した.プラセボ群は弾性粘着テープを使用した.これはテーピングの際に牽引力が発生し何らかの影響がでた可能性がある.
この研究で考慮する点はサンプルサイズ少ない、即時的効果を反映している、1kgの重錘での痛みを評価しているため、負荷が高い場合のテーピングの効果は不明となっている.

解説

上腕骨外側上顆炎に対するキネシオテープの有効性のブログを紹介しました.
アウトカムが即時的な効果しか反映していませんが、短期的にはキネシオテープをすることで
痛みの改善に繋がる可能性が示されています.
テーピングの貼り方は本文の写真を見ると分かりやすいと思いますので、
リンクを貼っているので参考にしてみて下さい.

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