The effectiveness of manual therapy in supraspinatus tendinopathy
DOI: 10.3944/AOTT.2011.2385
ランダム化比較試験
本研究の目的は肩峰下インピンジメントに対して徒手療法の有効性を検証することである.
取り込み基準
①肩峰下インピンジメントまたは部分的な腱板断裂
(MRIで診断)
除外基準
①肩関節の外傷
②肩関節不安定性
③肩関節周囲炎の既往
④肩鎖関節・肩甲上腕関節の問題
⑤沈着性石灰腱板炎
⑥理学療法を受けた症例(2年以内)
77名の患者がランダムに3つのグループに割り当てられた.
エクササイズグループ(Group 1)
徒手療法グループ(Group 2)
ホームエクササイズグループ(Group 3)
患者情報は以下を参照

全てのグループで共通して以下の治療を実施
・筋力強化とストレッチ(菱形筋、肩甲挙筋、前鋸筋、回旋筋腱板)
上記に加えて
エクササイズグループは肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節のエクササイズを実施
徒手療法グループは棘上筋に対してのDeep friction massage、橈骨神経ストレッチ、
肩甲帯モビライゼーション、肩甲上腕関節モビライゼーション、PNFを実施
ホームエクササイズグループは自主練習プログラムを実施
※エクササイズグループと徒手療法グループは週3回 12週間の介入を受けた
以下のアウトカムを介入前と4週、12週(介入終了時)に測定した.
- VAS:疼痛(夜間時、安静時、運動時)
- 可動域
- MMT
- ADL評価:Modified American Shoulder and Elbow Surgeon’s (MASES) score
痛み(夜間、安静、運動)
全てのグループで介入前と比較して優位に12週時点での痛みは改善したが
グループ間での優位差はなし.

可動域
全てのグループで優位に可動域は改善したが、群間での優位差はなし.
MMT
可動域同様に、全てのグループで優位に改善したが、群間での優位差はなし.
MASES score
4週時点では徒手療法グループが優位に改善.
12週では各グループで優位差はなし.

今回は肩峰下インピンジメントに対して徒手療法の有効性を検証した研究です.
結果としては両群間で優位差はなく、
全てのグループで痛み、可動域、筋力、機能が優位に改善を示しています.
論文の著者は考察にて徒手療法グループで夜間時痛と機能スコアが他のグループより
改善が早いと述べています.
よって、短期的には徒手療法は有効ですが、長期的には徒手療法が他のエクササイズより
優れているとは言えない結果となっています.

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