非神経根性腰痛に対するスランプストレッチの有効性【ランダム化比較試験】

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タイトル

Effect of slump stretching versus lumbar mobilization with exercise in subjects with non-radicular low back pain: a randomized clinical trial

PMCID: PMC3267445

研究デザイン

ランダム化比較試験

目的

非神経根性腰痛に対するスランプストレッチの有効性を検証した論文は少ない.
そこで本研究の目的は非神経根性腰痛に対するスランプストレッチの有効性
を腰椎モビライゼーションとスタビライゼーションを組み合わせたグループ
と比較して痛みや能力障害の効果を検証することである.

方法

取り込み基準
①18~60歳
②症状が3カ月以上
Slump test 陽性

除外基準
①感染
②骨粗鬆症
③脊椎骨折
④神経学的欠損(反射、感覚、筋力などの低下)
⑤妊婦
⑥SLR test 陽性(45°未満)
⑦脊椎手術歴

研究方法

60名の患者がランダムに2つのグループに割り当てられた.

 Group 1
 腰椎モビライゼーション+スタビライゼーション
  lumbar spine mobilization+ stabilization exercises

 Group 2
 スランプストレッチ+腰椎モビライゼーション+スタビライゼーション
 slump stretching+ spine mobilization+ stabilization exercises

 

患者の基本情報は以下を参照

Group 1

グループ1に割り当てられた参加者は以下のプログラムを実施

・ウォームアップ:自転車エルゴメーター(5分)

・腰椎モビライゼーション
 低可動性の腰椎に対してgrade IIIまたはIVのモビライゼーションを
 後方から前方(posterior–anterior)に実施

・スタビライゼーション
 骨盤後傾、ブリッジ、スクワット、四つ這い位運動

※治療は6回の理学療法を3週間かけて実施

Group 2

グループ2に割り当てられた参加者はグループ1同様のプログラムに加えて
スランプストレッチが追加された.

スランプストレッチとは添付写真のように長座位姿勢となり
足底は壁につけて、頸部・体幹を屈曲する姿勢を保持する.
スランプストレッチは30秒を5回行った.

また、ホームエクササイズとしてもセルフでのスランプストレッチを
30秒 2回を行うように指導.

※治療は6回の理学療法を3週間かけて実施

アウトカム

以下のアウトカムを開始時、1週2週3週(介入後)6週で測定した.

  • 痛み:NRS
  • 能力障害:Modified Oswestry disability questionnaire (ODI)
  • 心理的評価:fear–avoidance belief questionnaire (FABQ)
結果

痛み:NRS

痛みはどの期間においても
スランプストレッチを併用したグループの方が優位な改善を示した.

能力障害:Modified Oswestry disability questionnaire (ODI)

能力障害を示すODIスコアは
3週、6週にてスランプストレッチを併用したグループで
優位な改善を示した.

心理的評価:fear–avoidance belief questionnaire (FABQ)

FABQスコアはNRS同様にどの期間においても
スランプストレッチを併用したグループで優位な改善を示した.

解説

今回は非神経根性腰痛に対するスランプストレッチ併用による
効果を検証した論文を紹介しました.

結果としては
3週間のスランプストレッチ+腰椎モビライゼーション+スタビライゼーション
の併用により介入後、痛み、能力障害(ODI)ともに開始時より半分以上
スコアが改善することが示されました.

下肢痛や痺れがある患者に対して
体幹方向性による症状の変化が認められない患者に関しては
スランプストレッチが有効であることが報告されています.

今回の論文を通して、Slump test 陽性で下肢に放散痛を有する
患者には坐骨神経ストレッチであるスランプストレッチが
短期・中期的に有効であると思います.

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